映画『ブルーバレンタイン 』(三幕構成分析#75)

※この分析は「脚本講習」の参加者によるものです。

※あらすじはリンク先でご覧下さい。
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【ログライン】

シンディ:家庭環境から愛を知らずに育ったシンディは、ディーンと出会い、付き合い始める。その後、元カレとの子どもを妊娠したことが発覚するが、そのことも受け入れプロポーズしてくれたディーンから愛を感じて結婚する。しかし、いつまでも子どもっぽく、家事もせず、お酒ばかり飲み、激情型の性格のディーンが嫌になり、別れを選ぶ話。

【ビートシート】


Image1「オープニングイメージ」:「」

CC「主人公のセットアップ」:「産婦人科」産婦人科の医者に声をかけられているシーンで、看護師をしていることと、仕事の出来る人という印象を受けました。(結果的には医者も下心があり、それで声をかけていたことが分かりますが……)
「ジャンルのセットアップ」

Catalyst「カタリスト」:「メーガンの死」飼っていた愛犬(メーガン)死んでいたのを見つけてディーンに報告するシーンです。このことがキッカケになり、ディーンと旅(ラブホテル)へ行くことになるのでカタリストだと考えました。

Debate「ディベート・デス」:「ディーンとの言い争い」安いラブホテルは嫌だとディーンに伝えますが、聞き入れてもらえませんでした。強引に予約を取られてしまうので、デスでもあると思います。

PP1「プロットポイント1(PP1)」:「車で出かける」車でホテルへ向かうシーン。元カレと出会ったことをキッカケに車中でも喧嘩になります。

Battle「バトル」:「」

Pinch1「ピンチ1」:「」

MP「ミッドポイント」:「夕食」ホテルでの夕食のシーン。時間と食事という部分でMPだと考えました。
Fall start「フォール」:「ディーンを拒否する」ディーンに迫られますがシンディは拒否をします。気持ちが離れているのが伝わりました。ここでもディーンは泥酔しています。

Pinch2「ピンチ2」:「」

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「ディーンを帰るように促す」職場に現れた泥酔したディーンを外へ連れ出し、家に帰るように促すシーン。

DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「」

BBビッグバトル:「」

image2「ファイナルイメージ」:「花火の中の二人」情熱的にキスをしている二人の映像が出ます。

エピローグ:

【感想】

ビートシートはシンディとディーンで取って、過去を青字にしました。ビートはシンディで考えてみました。
二人の出会いから別れまでを過去と現在をいったりきたりしながら進んでいく話で、テンポよく見られました。最後、別れ話をする部分で過去の映像が細かく入ってくる演出が好きでした。
一番切なかったのは、去っていくディーンを娘が追いかけるところ…シンディにとってはダメな夫でも子どもにとっては大好きなパパだよなーと…もっと他に選択肢はなかったのかと考えさせられました。(ディーン目線で見たら、シンディも結構酷い女だと思います)
見る年代でも、どちらに共感するかでも見え方が異なるとても素敵な映画でした。

(米俵、2022.10.15)

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『映画『ブルーバレンタイン 』(三幕構成分析#75)』へのコメント

  1. 名前:川尻佳司 投稿日:2022/10/23(日) 00:11:36 ID:d5cc6f73f 返信

    とても見やすく整理されたビートシートでした。過去と現在のシーン構成がはっきりと分かります。これだけ過去と並行して対比させたストーリーというのは珍しいですね。
    現在と過去シーンとのつなぎ方が自然なので、実際私たちが過去を回想しながら現在を暮らしているのと同じような気分にもなり、リアリティがありました。

    映画全体としての細かいビートについて考えてみました。

    Image1:「娘が飼い犬を呼ぶ」愛犬がいない、すでに愛が失われている

    CC:「朝の準備での対立」ディーンがシンディを起すと仕事で睡眠不足のようで不機嫌です。二人とも娘を愛しているようですが、ディーンは遊ぶように接し、シンディはきちんとしていてその育て方も対立しています。

    Catalyst:10%10分「愛犬の死」愛犬の死は愛の喪失を感じさせる出来事で、ディーンは愛を確認するためシンディとラブホテルへ行こうとします

    Debate:10分~「娘を実家へ」「埋葬」「愛犬の動画」「ディーンとの言い争い」愛犬の死の痛みをなぐさめます、そしてディーンはシンディとホテルへ行く案を思いつきますが、シンディは仕事などを言い訳に拒否します
    ここでは過去のディーンのセットアップもあって彼が引越しのバイトで勝手に老人の新居を飾り付けるという、独りよがりですが愛情深いという性格が描かれます、かつてはシンディが惹かれた彼の個性です、また彼の考えである男はロマンチストで女は稼ぎのいい男を選ぶと過去においてはいい意味で裏切られたテーマが皮肉にも現在において学ぶことになります

    Death:20%21分「ホテルの予約をとる」ディーンは強引に決めます

    PP1:22%22分「車で出かける」二人がホテルへ向かう第2幕に入ります、すでに喪失している愛を確認しようとする旅です

    Battle:22分~「元カレと再会で喧嘩」「ホテルでのすれ違い」元カレと再会で喧嘩。ホテルではシンディはディーンの子どもっぽさに嫌味を言ったり、シャワーでは彼を拒否します。何れの対立も二人の個性がもう求めあうものではなく、対立の種になっている、愛を確認しても不在です、一方、過去の2人のストーリーではシンディが愛を信じられないというセットアップと2人の出会いで第2幕に入ります
    (「ジャンルのセットアップ」過去と現在を対比したラブストーリー)

    Pinch1:36%39分「シャワーでの拒否」これをきっかけにディーンは音楽をかけMPに向かいます、過去ではバスでの再会がピンチ1ですBストーリーとしてウォルターの自死を通して愛の力について語られます

    MP:48%51分「タップダンス」過去の2人の恋愛のMPがちょうど映画全体のMPとなっています、現在の2人のMPは41分にあり、こちらも踊っていていずれも「まやかしの勝利」で対比されています

    Fall start:50%53分「夕食での対立」シンディからディーンへ酒や仕事の上昇志向の無いことへ不満が告げられ、危険度アップです

    Pinch2:58%62分「シンディ拒否する」シンディはディーンが自分の子どもをつくると言ったことで拳を上げ完全に拒否して、PP2へ向かいます
    過去では妊娠が発覚し危険度アップ、ピンチ2でディーンにばれて、PP2で中絶をやめ、3幕に入りBB(TP2)でプロポーズします

    PP2:74%79分「ディーン、ホテルで一人残される」シンディは病院へ向かいディーンが一人残されます、過去ではBBstartでディーンが元カレに殴られます

    DN:78%82分「医者からの誘い」昇進は実力ではなく稼ぎの良い男からの誘いでした

    BB(TP2):74%79分「バス停を確かめる」
    prepare 78%84分「ディーンが病院に来る」ディーンが愛を確かめに職場まで来ます
    start 「シンディと口論」「医者を殴り、クビ、離婚」「指輪を捨て、拾う」
    過去のストーリーではBBのtwistとsolutionがあり、シンディの両親と会います。ディーンの個性をつくった生い立ちが語られます
    twist 「娘のこと」ディーンの行動は全て家族のためですが、独りよがりです
    solution 「お互い変われない」シンディは愛のない家庭で娘を傷つけたくありません
    BF:「誓いの言葉」最後に抱き合い、過去の結婚とカットバックして別れます、お互いにありのままの自分を受け入れてジンテーゼです

    image2:「娘が父親を呼ぶ」娘は愛犬だけでなく最愛の父親も失います

    「別離の岐路」のストーリーが過去の「ロマ・コメ愛」のストーリーによって説明とBストーリー、対比がされていく、ユニークな映画でした。
    とてもリアリティーがあって、レビューにも身につまされる意見が多く感じられました。人生を学ぶものとしてはシリアスもいいのかと思いますが、娯楽としてはコメディ―として描かれると良かったと思います。