映画『きみに読む物語』(三幕構成分析#209)

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※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。

【ログライン】

ノアが認知症のアリーのためにアリーが綴ったふたりの恋物語を読み、思い出してもらう。

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「夕陽」「ボート」「渡り鳥」「家(施設)」
夕陽の中、家とアリーに向かって漕ぎ続けるボートと渡り鳥。
人生の終盤=夕陽、アリーの記憶を取り戻そうと歩み寄る=ノアが漕ぐボート、過去のふたり=渡り鳥。

GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「読み聞かせ」
認知症の症状が出ているアリーに物語を読み聞かせようとする。

Premise「プレミス」:「該当なし」

want「主人公のセットアップ」:「命がけである人を愛した」

Catalyst「カタリスト」:「デートを断られる」
物語パート。約束したはずのデートを断られる。

Debate「ディベート」:「映画」
物語パート。友人の助けにより一緒に映画へいく。距離を縮める。

Death「デス」:「ダンス」
物語パート。一緒に歩いて語り合う。車に轢かれそうになったのを面白がるアリーをダンスに誘う。
恋人関係の始まり。

PP1「プロットポイント1(PP1)」:「出会い」
物語パートの始まり。

F&G「ファン&ゲーム」:「1940年」
差別や格差の残る時代での夏のひととき。

Battle「バトル」:「家族の反対」

Pinch1/Sub1「ピンチ1」/「サブ1」:「ロン」「マーサ」
アリーはロンと出会い、ノアはマーサと慰め合う。

MP「ミッドポイント」:「鳥」「話に覚えがある」
物語パート→海で遊ぶふたり。前世は鳥だとはしゃぐ。
現実パート→物語によって記憶が戻る兆候。

Reward「リワード」:「喧嘩をしても愛し合っていた」「農園で弾いた曲をそらで弾く」
物語パート→食い違っていても愛し合う。人間関係リワード。
現実パート→記憶が少しずつ戻ってくる。状況改善リワード。

Fall start「フォール」:「富裕層に受け入れられないノア」「諦めて家族と暮らすことを提案される」
物語パート→職業や賃金を聞いてイマイチな顔をされる。格差が露呈する。
現実パート→認知症のアリーより、ノアが心配だから家族と過ごしてほしいと提案される。

Pinch2/Sub2「ピンチ2」/「サブ2」:「ロン」「マーサ」
ロン、マーサとの別れ

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「別れ」「寂しい気持ち」
物語パート→アリーが帰ることになる。ノアからの手紙も隠され関りが無くなる。
現実パート→自分のことのように寂しくなる。認知症状を失いつつある。

DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「忘れられない」「思い出し始める」
物語パート→ノアは人を愛したくても愛せず、アリーはノアの記事を見て悩む。
現実パート→物語を知っていると戸惑う。

BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「結ばれる」「ダンス」
物語パート→体の関係を持ち、愛を確かめる。
現実パート→正気に戻り、語り合いながらダンスする。

Twist「ツイスト」:「母親が来る」「パニック」
物語パート→いい選択をしなさいと母親に諭される。
現実パート→認知症状が出てきてパニック。

Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「ノアを選ぶ」「一緒に亡くなる」
物語パート→ロンを捨て、ノアのもとに。
現実パート→正気に戻ったアリーと手を繋いで就寝。そのまま亡くなる。

Epilog「エピローグ」:「該当なし」

Image2「ファイナルイメージ」:「渡り鳥が飛び去る」
渡り鳥=ふたりがこの世から飛び立つ。

【作品コンセプトや魅力】

認知症の妻への愛。夫婦の始まりの物語。

【問題点と改善案】

読み聞かせをしているシーンに戻るとわかりにくさを感じる。
家が施設になった経緯や、なぜノアが施設でわりと自由にできているのかなど、疑問を感じてしまい没頭できない。
→セットアップで家を施設にしたとわかるようなショットを入れる。ex.写真や手紙など。
恋愛パートのMPが早すぎて関係性や思い出の積み重ねがあっという間に終わってしまい、情熱的な恋をしている印象が薄くなっている。
→改築や売却交渉の様子を少し削って音楽シークエンス部分をワンシーンだけでも丁寧に描く。
→ふたりの物語だと思えば、別れと再会がメインなので逆にこのままでもいいかも・・・?

【感想】

「好き」5「作品」5「脚本」4

高校生の時に観て号泣した映画です。
原作も読むぐらい好きなので分析してみましたが、やっぱりボロ泣きしてしまって分析どころじゃありませんでした笑
ですが、初見の時に感じた「家がなんで施設になっているんだろう」という疑問は変わりませんでした。家が気になると集中できないので脚本はマイナス1点で評価しました。
作品という点ではOP・EDイメージや二人が結ばれるときに着ているアリーの服、富裕層と食事するときのノアの服など細かい部分が作りこまれているように思えました。
アリーが望んだことをノアが全部叶えているところや、また思い出してもらうために何度でも物語を読む姿勢、忘れられる悲しみ、すべて愛ゆえかと思うと涙を止められません。

(雨森れに、2024.9.18)
2024.12.13アップ

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