https://www.netflix.com/title/82133132
※あらすじはリンク先でご覧下さい。
※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。
【ログライン】
過去に部下を目の前で殺され自身も左目を失った鬼教官の風間公親は、警察学校で205期の生徒たちの指導をしている。様々な想いを抱える彼らの秘密や嘘を暴き、適正にかける人物に退校届をつきつけ、ふるいにかける。その裏では、風間に恨みを抱く十崎が暗躍していた。
【フック/テーマ】
教場内で起こる様々な問題・過去の因縁の相手との決着/過ちを繰り返さないためにどう生きるか・覚悟・信念
【ビートシート】
Image1「オープニングイメージ」:「なし」
ファイナルイメージと対になるものがないため、なし。
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「警察学校での訓練」
訓練のシーンが差し込まれることにより、この作品が警察学校を舞台にしたドラマであることが示される。またその過酷な状況が描かれることで、無事に卒業して、警察官になれるのかというセントラル・クエスチョンをしさしている。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「生徒たちは試練を乗り越え、警察学校を卒業し、警察官になることができるのか?」「因縁の相手を捕まえることはできるのか?」
want「主人公のセットアップ」:「退校届を突きつける」
「警察官にするつもりはない」と生徒たちの前で宣言し、憧れを打ち砕く。そして、自身が被害に遭い、左目を失ったことを示唆する。
Catalyst「カタリスト」:「拳銃を教室に置き忘れる」
偶然ではなく、意図的に置いていった。風間からの授業の始まりであり、矢代を主軸にしたドラマのスタート。
Debate「ディベート」:「入校前に表彰された矢代」
訓練がうまくいかない矢代。そんな矢代は入校前に警察から表彰を受けていた。冒頭の拳銃自殺のシーンと繋がる。当該警察官の命を救った。しかしうまくいかない現状に嫌気がさし、自身を失っていく。
Death「デス」:「矢代に退校届を突きつける」
拳銃で遊んでいた矢代、それを注意した門田と口論になり衝突。翌日、風間は矢代と門田に退校届を突きつける。
矢代は自殺した警察官をモデルにして、自殺しようとした。それを門田が止めに入った。喧嘩沙汰の真実が風間から明かされる。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「矢代、退校」
門田は風間に退校届を提出するが、矢代を救ったと言われ、返される。そして、矢代の席から名札が抜き取られ、退校。
F&G「ファン&ゲーム」:「学校に幽霊の噂」
週末に教場で明かりが灯り、人影があるという噂を星谷はクラスメイトから聞く。
Battle「バトル」:「星谷の感情を揺さぶる」「職務質問訓練」「尾行訓練」
MP「ミッドポイント」:「Reunion=再集結」「十崎と氏原は繋がっている!?」
かつて風間教場を卒業した警察官や門下生たちが、再集結。十崎の妹に関する情報を掴んで、深夜の教場に再集結する。
その一方、生徒である氏原と十崎がやり取りしていることが示唆され、先の見えない不穏な状況が暗示される。
Reward「リワード」:「実務研修開始」
練習用交番での研修を終え、いよいよ実務研修=実際の交番での研修が開始となることが案内される。
Fall start「フォール」:「若槻、犯人を締め落とす」
事件発生の連絡を受けた若槻は、犯人と対峙。立ち向かい犯人を羽交い絞めにして締め落とす。しかし若槻は必要以上に締めており、渡部が来たことで我に返り正気に戻る。
Pinch2/Sub2「ピンチ2」/「サブ2」:「なし」
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「若槻は警察学校を去る」
風間に弱点を突かれた若槻は、自らの意志で警察学校を去る。納得できない渡部は風間に理由を問うと、風間は「もう1つ過ちを犯している」と告げる。(ただし本作においてその“過ち”の正体には言及されない)
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「門田、写真を撮る自信をなくす」
訓練中の笠原に関する違和感を風間に打ち明ける。しかし「生徒の表面しか写していない」と言われ、写真を撮る自信をなくしてしまう。
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「笠原、風間と剣道稽古」
風間は執拗以上に笠原を攻撃する。門田が止めに入るが、風間はやめない。警察官になる覚悟があるのかを笠原に問う。それは門田も同じ。風間は同じ問いを門田にも投げる。
Twist「ツイスト」:「笠原は小指を欠損している」
風間は笠原の秘密を暴く。入校前に事故で小指を欠損していた。入学が許可されないと思った笠原は隠した。
しかし風間は笠原に覚悟を問い、自身もハンデを持つ人間として笠原の秘密を守ることを決める。
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「門田は自信を取り戻す」
笠原の覚悟を目の当たりにし、また仲間から写真のことを褒められたことで、失くしていた自信を門田は取り戻した。
Epilog「エピローグ」:「Reunion/門下生たちに呼び出される」「会議を盗聴している氏原」「後編への橋渡し」
風間は門下生たちに呼ばれ、赴く。そこで十崎の妹に関する情報をぶつけられるが、「十崎に復讐したいだけなのか」と質問を投げかけ、立ち去る。そしてその会議を生徒の氏原が盗聴しており、情報を十崎に渡していることが示唆される。
その後、後編のドラマで描かれることになるだろう生徒たちの秘密が次々と示唆され、また十崎の妹が失踪。誘拐されていたことがわかり、その犯人のひとりがかつての教え子平田だったとわかるところで幕を閉じる。
Image2「ファイナルイメージ」:「なし」
オープニングイメージと対になるものがないため、なし
【作品コンセプトや魅力】
警察学校を舞台にしたミステリー小説を原作とした作品。過去に2作(4本)のスペシャルドラマと連続ドラマが制作されており、今回はその完結編となる映画の前編。
木村拓哉さんがこれまでのイメージを覆す白髪に義眼というスタイルで主人公の風間公親を演じた。
警察学校を舞台に描かれる人間ドラマと、過去の因縁の相手との決着=過去作で散りばめられた未回収の伏線回収が本作のフックとなる。
タイトルのReunion=再集結の名の通り、過去に風間教場を卒業したキャストや未発表の主要キャストも多く登場し、まさにラストにふさわしい展開となっている。
【問題点と改善案】(ツイストアイデア)
教場内で描かれる人間ドラマが過去作と似たり寄ったりな感が否めない。警察官を志す人にも裏の顔があり、秘密、嫉妬や欲望、愛憎が絡み合い、それを風間公親が暴くことで、適正にかける人は退校を余儀なくされるという形をとる。
中でも、過去作もあわせて最も多いのが恋愛関係だ。本作で描かれる4つのドラマのうち、1つは恋愛感情のもつれから発展するものであるし、『教場Ⅰ』『教場Ⅱ』においても恋愛トラブルは多々。また、後篇への橋渡しとして少なくとも1つは恋愛関係のドラマが描かれることが示唆される。
それにしても警察学校内で恋愛しすぎだろとツッコミたくならざるを得ない。原作を未読のため、どこまで忠実であるのか定かでないが、それにしてもバリエーションは持たせるべきであると感じる。
さらに、生徒が抱える秘密は法に触れるものであるケースも存在する。本作の1つ目と2つ目のドラマは、生徒が法を犯していたことで退校処分となるのであるが、少なくとも警察官を志す者が法を犯してどうするとこれまたツッコミたくなってしまう。
警察官になりたい動機と恋愛感情や法律違反とがうまく釣り合っていないために、リアリティに欠けてしまっている。
警察官になりたいというwantは、さらり触れられはするが、キャラクターコアを形成するまでには至ってないことが原因か。それがうまく処理されている3つ目や4つ目のドラマは生徒に感情移入できる仕上がりになっている。
【感想】
前述のように、本作では4人の生徒を主軸にしたドラマが描かれる。そしてそれらの仕上がりにバラつきが生じてしまっているのが惜しい。とはいえ、若手実力派キャストとキムタクとの演技バトルは見応えがある。
またかつての生徒たちが登場し、風間公親の部下の命を奪い、風間の左目を負傷させた犯人を追うという展開も激アツである。過去作をすべて見ている私からすれば待ち望んだ展開だろう。ただし、キャストが多すぎて、それぞれのキャラクターが活きているかと言われると、否と言わざるを得ない。(それぞれがどの部署にいてどういう仕事をしているのか、一度で理解しきることは不可能だ)その上、事件の進展は大してない。ほとんど会話のみで情報が明かされるという形式を取る。集大成ということを鑑みると、登場するということに意味があるように感じる。
本作は前編であり、張り巡らされた伏線がまだまだ未回収である。後編ですべて回収されるのか、個人的にはきれいさっぱり回収されることを望んでいる。
さらにこの作品の挑戦的なところは、前編である本作をNetflixで配信し、後編である『教場 Requiem』を映画館で全国公開する。前例のない挑戦が吉と出るのか、凶と出るのか、今後の映画産業にも影響を与えるだろうその挑戦を非常に楽しみに公開を待ちたいと思う。
「好き」5「作品」4「脚本」3
(山極瞭一朗、2026/01/05)

