映画『7つの贈り物』(三幕構成分析#240)

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※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

【ログライン】

過去に交通事故で7人の命を奪ってしまったティムは、贖罪のために自身の臓器や家を譲る相手を探しており、その過程で心臓病を患うエミリーと出会い、恋に落ちてしまうが、エミリーの病状が悪化したため、自殺することでエミリーに心臓を提供する。

【フック/テーマ】
臓器提供/贖罪

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「自殺者の通報」
ティムがこれから死ぬ。

GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「自殺者の通報」
自殺者は自分だと明かすことで、「なぜ死ぬのか?」というミステリーのセットアップになる。

Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「臓器提供する価値がある人間か」「贖罪できるか」
贖罪のため、臓器提供する人間の選別を行っており、いい人間に提供したいと思っている。

want「主人公のセットアップ」:「交通事故で7人の命を奪った」
7人の中には恋人も含まれており、頻繁に夢に見るほど後悔している。
国税調査をするという名目で、提供候補者と接触している。

Catalyst「カタリスト」:「骨髄提供する価値のない人間」
骨髄移植する予定だった人間の人となりを知り、移植をやめる。

Debate「ディベート」:「他の候補者を探す」
親友のダンに他の候補者がいないか尋ねる。

Death「デス」:「丸坊主の男児」
病院のカフェテラスで骨髄移植が必要そうな男児を見つける。

PP1「プロットポイント1(PP1)」:「エミリーの家を訪ねる」
エミリーとの関係が始まる。

F&G「ファン&ゲーム」:「選別と善意」
選別した人間に臓器提供や家を与える。

Battle「バトル」:「F&Gと同じく」
選別していく過程。何を与えるか。

MP「ミッドポイント」:「エミリーに余命宣告」
エミリーが倒れて余命宣告を受ける。
自分は惹かれ始めているが、エミリーは心臓ドナーが現れなければ死んでしまう状態に。

Fall start「フォール」:「エミリーの願望」
健康だったら何をしたかったという願望や夢を聞く。自殺への意思が固まる。

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「気持ちを確かめ合う」
お互いの気持ちを理解し、ベッドを共にする。

DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「ドナーが見つかる可能性を知る」
珍しい血液型のため、見つかる可能性は3~5%。これは自分以外のドナーが見つかり、ふたりで未来を歩める可能性と同じ。
※すでに適合する候補者からエミリーをピックアップしたため、ティムは提供できる。

BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「ダンに電話」
死んだ後の流れはすべてダンに任せてある。ダンに自殺決行を知らせる。

Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「クラゲで自殺」
臓器が傷まないよう、氷水の中で自殺する。父親に教えてもらったクラゲ毒を用いる。

Epilog「エピローグ」:「ティムが臓器提供をしたかった理由」
事故後に弟への肺葉提供したことをきっかけに臓器提供者を探していた。
肺葉、腎臓、肝臓、骨髄、目、心臓、家で7つ。事故で死んだ人間も7人。

Image2「ファイナルイメージ」:「抱き合うエズラとエミリー」
ティムが死に、そのおかげで助けられたふたりが抱きしめ合う。

【作品コンセプトや魅力】

臓器提供、贖罪、自己犠牲、罪悪感、ウィル・スミス主演、ガブリエレ・ムッチーノ監督、日本公開時キャッチコピー「あなたなら、受け取れますか?」、トッド・ブラック(制作)、スティーヴ・ティッシュ(制作)

【感想】

「好き」4「作品」3「脚本」3
物語自体は感動できるもので、命を奪った人間ができる贖罪について考えさせられました。
人を殺めた罪悪感を表すためだと思いますが、フラッシュや回想が多い映画だと感じました。少しずつ回想を進めていくので、一発で何があったか理解が難しかったです。そのせいで物語の進みがぶつ切りになり、スムーズに感情移入できませんでした。
その上、選別シークエンスと恋愛シークエンスを交互に行いながらになるので、MPが盛り上がり切れていないと思いました。理由は同じくでPP2も遅く、やはり盛り上がれませんでした。
過去と現在が(おそらく制作側の意図ではない)混在の仕方で、ミステリー特有のスッキリ感もなかったように思えます。
集中してしまう映画というよりは、集中しないと理解できない映画だという印象でした。

(雨森れに、2025/9/1)

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