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※あらすじはリンク先でご覧下さい。
※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。
【ログライン】
CIA随一の頭脳を持ち、殺しはアマチュアの分析官のチャーリーは、国際テロ組織に妻を殺されたことで復讐心が芽生える。人を殺すことに葛藤をしながらも、ひとりずつ殺害していき、最後黒幕への復讐を果たす。
【フック/テーマ】
殺しのアマチュア/妻への献身的な愛、復讐心
【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「壊れたセスナ機を修復中」
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「舞台はCIA」
同僚のスパイやエレベーターを降下する中で、CIAの中でも諜報・作戦部が本作の舞台ではないことが明示される。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「妻を殺害して国際テロ組織に復讐を
果たせるのか」
want「主人公のセットアップ」:「チャーリーはCIAの分析官」
インクワラインとオンライン上でやり取りをしている。
Catalyst「カタリスト」:「妻の死」
チャーリーは上司から死の真相とその直前のカメラの映像を見せられる。
Debate「ディベート」:「独自に犯人を調べ始める」
得意の分析力を駆使し、犯人を特定。上司に報告するが、相手にされない。
Death「デス」:「ギャリソンと面会」
自責の念と上司への怒りを打ち明け、「変化を起こすのはあなた」と復讐の妥当性を暗に示唆される。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「上司を脅して復讐を決意」
自身が調べたテロ組織に関する情報を公表すると上司を脅す。復讐を果たすために殺しの訓練を受けることを要求する。
F&G「ファン&ゲーム」:「ヘンダーソンとの出会い」
Battle「バトル」:「訓練開始」「フランクに接触するが殺せない」「フランクに直に接触、密室に閉じ込め情報を訊き出そうとするが、返り討ちに遭う」
Pinch1/Sub1「ピンチ1」/「サブ1」:「妻から、壊れたセスナ機のプレゼント/水面下でチャーリーを調べるムーアたち」
MP「ミッドポイント」:「ヘンダーソンと対峙」
一時は窮地に陥るも、得意の頭脳を駆使して逃げ出すことに成功する。
Reward「リワード」:「インクワラインとの出会い」
オンライン上だけでの繋がりであるインクワラインと実際に出会い、協力者となる。
Fall start「フォール」:「テロ組織のひとり、ブラジッチを殺害」
夜の屋外プールで、プールを丸ごと破壊し、犯人のひとりを始めて自身の手で殺害する。
Pinch2/Sub2「ピンチ2」/「サブ2」:「インクワラインは夫を失った過去を打ち明ける/CIA長官と食事をするムーア」
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「エリッシュ殺害」
黒幕であるシーラーの情報を訊き出し、テロ組織のひとりエリッシュを爆弾を使って殺害する。
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「シラー発見」
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「シラーに捕らえられる」
シラーに捕らえられたチャーリーはそこで、妻は見せしめに殺されたことを知る。
Twist「ツイスト」:「シラーから銃を渡される」
正面から撃てと挑発され、チャーリーは銃を向ける。しかしチャーリーは撃たない選択をする。
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「シラーの逮捕+CIA幹部の逮捕」
チャーリーの策略により、船は国境を超える。シラーは逮捕され、チャーリーの復讐は完結する。また、非合法な捜査をしていたとして、チャーリーの上司たちも逮捕される。
Epilog「エピローグ」:「ヘンダーソンと対峙」
チャーリーは友人としてヘンダーソンと握手を交わす。
Image2「ファイナルイメージ」:「セスナ機で飛び立つ」
【作品コンセプトや魅力】
CIA随一の頭脳を持ちながら、殺しをしたことがないという設定が新しい。復讐ものでありがちな、淡々と人を殺すシーンはなく、そこに葛藤が描かれる。また、頭脳を駆使した殺害方法がとられ、これまでの類似作品と一線を画す作品だろう。
【問題点と改善案】(ツイストアイデア)
主人公が最初に人を殺したのは、79分頃と遅い印象。(フランクの死はあくまで事故死であり、直接主人公が手を下したわけではないので除外)それにより、後半が駆け足になりラスボスとの対決がさらっと終わってしまったように感じる。また準主役的な立ち位置であるヘンダーソンの役割が曖昧なまま終わってしまっている。CIAが送り込んだ刺客であるはずが、ラストにはチャーリーの友人的立ち位置へと変わっている。そもそも登場シーンが多くはないため、どのようにしてその変化が起こったのか捉えるのが難しい。
チャーリーを追うCIA側の視点を極力排し、ヘンダーソンの視点を増やすことで、チャーリーとヘンダーソンのバトル構造を全面に出す方が、準主役としての立ち位置も明確にできたのではないだろうか。
【感想】
復讐を扱った作品では大勢の人間が死ぬことがよくある。しかしこの作品では死ぬ人間を最小限にとどめ、主人公が人を殺すことに対する葛藤を丁寧に描いているところが評価ポイントといえるだろう。その点において新しい切り口だと感じた。
銃で殺害するのではなく、主人公の長所を活かした殺害方法を取ると言ったことも見ていてワクワクする。特に予告にも使われているFallとPP2のシーンは印象深い。個人的には好きな作品であった。
「好き」5「作品」4「脚本」4
(山極瞭一朗、25/11/08)
