※あらすじはリンク先でご覧下さい。
※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。
【ログライン】
すみっコたちは馴染みの喫茶店で絵本を見つけ、絵本の世界に吸い込まれる。そこで迷子のひよこ?と出会ったことをきっかけに、ひよこ?のおうちを探し、そしてひよこ?の居場所を見つけ、一緒に戻ろうとするが、できず、ひよこ?を残したまますみっコたちだけが元の世界に戻る。
【フック/テーマ】
迷子のひよこ?・絵本の世界/仲間を見つけ、自分自身が何者であるか知ることができるのか?
【ビートシート】
Image1「オープニングイメージ」:「ひよこ?が一筋の涙を流す」
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「仲間たち紹介」
Wantと等しく、すみっコたちが紹介されることで、この作品が大人気キャラクターたちが登場する作品だとわかる。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「仲間を見つけ、自分自身が何者であるか知ることはできるのか?」
want「主人公のセットアップ」:「仲間たち紹介」
ナレーション、音楽とともに、しろくま・ねこ・とんかつ・とかげ・ぺんぎん?たちの紹介がなされる。また、彼らの仲間たちであるざっそうやえびふらいのしっぽの紹介もなされる。
Catalyst「カタリスト」:「おばけ、絵本に呑み込まれる」
地下室の掃除を終えたおばけは、絵本から飛び出したおおかみと思しき何者かに、呑み込まれてしまう。
Debate「ディベート」:「地下室へ」
不審な物音を聞いたすみっコたちは、怖がりながらも地下室へ行くことになる。
Death「デス」:「絵本の中のおばけ、鬼の舌を引く」
飛び出す絵本と連動しており、地下室に鬼が現れ、すみっコたちを吸い込もうとする。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「絵本の世界へ」
鬼に吸い込まれ、すみっコたちは全員絵本の世界へ旅することとなる。
F&G「ファン&ゲーム」:「桃太郎」
絵本の登場人物になったすみっコたち。『桃太郎』の昔話にそって進む。
Battle「バトル」:「『マッチ売りの少女』」「『人魚姫』」「『アラビアン・ナイト』」「『赤ずきん』」
MP「ミッドポイント」:「かにに連れられ、しろくまらはぐれる」
とかげと合流したのも束の間、ひよこ?はかにに連れられ、別の物語の世界へ行ってしまう。
Reward「リワード」:「ぺんぎん?と合流」
ひよこ?が行った先は『アラビアン・ナイト』。そこでぺんぎん?と出会う。
Fall start「フォール」:「ねこ、おにから逃げる」
『桃太郎』の世界にいるねこは、おにと出会い、逃げる。その過程で他の作品の世界に影響を与え、すべての世界が繋がる。そしてすみっコたち全員が合流する。
Pinch2/Sub2「ピンチ2」/「サブ2」:「なし」
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「おばけ、元の世界へ戻る」
おばけの旅が終わる。旅が終わることの示唆。
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「『みにくあひるのこ』」
ひよこ?は白鳥の雛だとわかる。居場所が見つかった。と思いきや、ひよこ?はみにくいあひるのこではなかった。
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「真っ白な世界」
絵本でいうと白紙のページ。ひよこ?は絵本の白紙のページに落書きされていた。絵本の存在も忘れ去られ、独りぼっちになったひよこ?。ひよこ?は仲間を探す旅に出た。
Twist「ツイスト」:「元の世界への出口が開く」
すみっコたちは協力して、出口を目指す。しかし絵本の世界にいるひよこ?は外の世界へは行けない。
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「すみっコたちは元の世界へ」「ひよこ?は絵本の世界に残る」
Epilog「エピローグ」:「喫茶すみっコでの日常」
絵本を見返すすみっコたち。
Image2「ファイナルイメージ」:「絵本のひよこ?は笑っている」
【作品コンセプトや魅力】
サンエックスの人気キャラクター「すみっコぐらし」の劇場版第1作。すみっコたちが絵本の世界に飛び込み、誰もが知る物語の登場人物になるというところが楽しい。また本作のゲストであり、実質的な主人公「ひよこ?」のおうちを探すというテーマが一貫しており、物語のゴールがわかりやすく、子供でも見やすい構成となっている。
【問題点と改善案】(ツイストアイデア)
絵本の中の世界の物語(『桃太郎』『人魚姫』『アラビアン・ナイト』『マッチ売りの少女』『赤ずきん』)にあまり大きな意味は持たない。つまり、『桃太郎』の筋に沿って話が進んだり、『赤ずきん』の筋に沿って本作が描かれたりするわけではないということだ。桃太郎の衣装を着たすみっコたちを堪能するにとどまっている。だからこそ、それぞれの物語は超ダイジェスト的で、惜しい。ひよこ?のおうちを探すというテーマとうまく関連付けるためには、登場する物語を絞って進める必要はあったかもしれない。
また、キャラクターコンテンツを映画化している以上、すみっコたちが変化する=キャラクターアークを描くのは難しい。すみっコたちの性格などは決まり切っているため、成長することはないし、いちファンとしては、変化してほしいとも思わない。一方で本作を分析したとき、キャラクターアークを描ける要素はあると感じた。それは本作のゲストであるひよこ?だ。おうち探しやアイデンティティを見つけるというテーマと密接に関わるキャラクターである。しかし、全体としての登場シーンが多くなく、丁寧に変化を描けているとは言い難い。絵本の世界に残る決断をする展開はぐっとくるものがあるため、もったいないように感じる。ひよこ?のwantのセットアップ不足によるところがあるか。おうちを探したいと言い出したのはひよこ?ではない。
あくまで主人公はすみっコたちであり、実質的な主人公とはいえひよこ?はゲスト。このあたりの塩梅をどう処理するかが難しいところだと感じた。
【感想】
問題点を色々あげたが、すみっコたちの可愛さを堪能するには十分であり、60分弱の尺の中で、様々な物語に飛び込むすみっコたちを見るのはやはり楽しい。本作以降、現在までに3作品劇場版が制作されており、すみっコワールドの今後の広がりにも期待したいところ。中でも本作のテーマは、第1作ということもあり、子供にも特にわかりやすく作られており、見やすい。テーマをしっかり盛り込むことの重要さを体感できるような分析であった。
「好き」5「作品」3「脚本」2
(山極瞭一朗、2025/12/19)

