https://www.netflix.com/jp/title/81447229
※あらすじはリンク先でご覧下さい。
※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。
【ログライン】
一夜を共にした女性の家で目を覚ました主人公は、犬を理由に帰路につくが、警官にあらぬ疑いをかけられ死んでしまう。
しかし目を覚ますと同じ日をタイムリープしており、家に帰るため試行錯誤し、最終的に警官と対話することで家に送ってもらえるが、警官もタイムリープしており、主人公を殺すことを楽しんでいたと判明する。
【フック/テーマ】
タイムリープ/根深い人種差別
【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「NYの街並み」
整備された街。ファイナルイメージで警官と遭遇したことで亡くなった黒人被害者が列挙されているので、街に根付く人種差別を暗に訴えているように取れる。
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「なし」
タイムリープというSFものだが、現代的物語なので該当なし。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「どうすれば家に帰れるのか」
want「主人公のセットアップ」:「黒人の青年」
この物語において一番大切な要素、人種の部分を端的に表す。差別される側でありながら、デザイナーとして成功している。経済的な弱者ではない。
Wantとしては、飼い犬が重要になっており、犬のために家に帰りたいと思っている。
また、ペリーと恋愛を始めたばかり。
Catalyst「カタリスト」:「職質」
言いがかりをつけられ、職質される。
Debate「ディベート」:「反抗」
権利を主張し、職質から逃れようとする。だが、応援を呼ばれ動けなくなる。
Death「デス」:「窒息死」
警官の締め上げにより死亡。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「タイムリープ初回」
ホラーと同じく、現象の1回目がact2の入り口。
警官から逃れるための物語が動き始める。
F&G「ファン&ゲーム」:「試行錯誤」
あの手この手で殺されない未来を掴もうとする。
Battle「バトル」:「選択」
1回目とは別の選択をする。
大金を隠す、コーヒー男とぶつかるのを回避、ペリーの家に留まる、警官から逃げる……
Pinch1/Sub1「ピンチ1」/「サブ1」:「ペリー」
サブ要素としてペリーとの恋愛がある。1では一緒に朝食を作ったため、機動隊に突入されてしまう。
MP「ミッドポイント」:「殺される恐怖」
何度も殺され、心が挫ける。絶望。
Reward「リワード」:「ペリーの言葉」
「自ら殺すか、相手が黒人であれば対話する」
Fall start「フォール」:「警官に話かける」
対話しようと試みる
Pinch2/Sub2「ピンチ2」「サブ2」:「ペリー」
リワードと同じシーン。ペリーにタイムリープを伏せたまま相談する。
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「見逃される」
初めて警官に見逃される。状況の改善。
しかし、直後に別の警官から殺されるので、偽の勝利。
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「家までの送迎を希望」
警官から逃げるのではなく、家まで送ってもらおうとする。
Twist「ツイスト」:「警官もループしている」
警官もループしており、主人公殺害を楽しんでいると判明。帰宅が怪しくなる。
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「射殺される」
「また明日」と射殺される。結局帰宅はできない。
Epilog「エピローグ」:「諦めない意志」
自分の長所を活かし、なんとしてでも家に帰ると決意。外へ。
Image2「ファイナルイメージ」:「黒人被害者の名前」
時折、被害にあった状況を加えながら名前が列挙されていく。
【作品コンセプトや魅力】
人種差別、黒人、白人、白人警察官、黒人被害者、白人社会で生きる黒人コミュニティ、偏見、迫害、言いがかり、麻薬、タイムリープ、愛犬への思い、人種を越えた対話、対話の重要性とは、ジョージ・フロイド、Netflix配信、アカデミー賞短編映画賞受賞、トレイヴォン・フリー監督脚本、マーティン・デズモンド・ロー監督、ジョーイ・バッドアス主演、アンドリュー・ハワード出演、ザリア・シモン出演
【感想】
「好き」4「作品」4「脚本」4
30分ほどの作品とは思えないような満足感がありました。
タイムリープものは「なぜタイムリープするようになったのか」がエンジンになりやすいですが、本作は「何をしても偏見の前では意味をなさない」という人種差別要素を見せるためのタイムリープでした。
試行錯誤する部分も、爪が甘かったり、安直だったり。それが人間らしさを醸し出しており、リアリティを感じます。
テーマや発想を物語に落とし込む手法を考えさせられる作品だと思います。
(雨森れに、2026/5/6)
米俵さんによる分析
短編映画『隔たる世界の2人』(三幕構成分析#223)
