キャラクター概論22「言動決定要素④脳内辞書:動詞の使い分け」

言動決定要素について順番に考えきました。前回につづき「脳内辞書」について考えていきます。
今回は「動詞の選び方」です。

【キャラクターを動かす動詞】
最近、こんな本→『俳優・創作者のための動作表現類語辞典』が翻訳されました。メソッド演技のスタニスラフスキー・システムから発展したアクション動詞の辞典です。

脚本でト書きに「思う」「考える」「悩む」といった内面的な動詞は使えません。それはカメラに映せないからです。
考える動作を「頭を掻く」とか「顎に手をあてる」とか、動きで表現しなくてはいけません。もちろん、この動作自体にもキャラクターの性格を反映させるべきです。
ト書きにどういう動詞を使うかでキャラクターの性格が決まるともいえます。

【脳内辞書としての動詞】
ト書きでの動詞の使い分けは、作者がキャラクターを動かすための動詞です。「脳内辞書」での動詞の使い分けは、セリフにあらわれます。
プロポーズに尻込みしている友人を励ますセリフとして考えてみます。

「当たって砕けろだ!」
「ダメもとで、ぶつかってこい!」

言っている内容は同じですが「プロポーズすること」を「砕ける」「ぶつかる」といった動詞で表しています。

アメフトをやっているキャラクターなら、
「タックルかましてこい」

野球選手なら
「空振りしてもいいから、思いっきりバットを振れ」

理系キャラクターで、
「ダメならダメという実験結果が得られることに意味があるんだ」

人生訓を好むキャラクターでは
「結果はどうあれ、やらないと後悔するぞ」

プロポーズすることではなく諦めさせるとか別の方法を提案するようなセリフでは価値観やシチュエーションが違います。
あくまで同じ内容を、どう言い替えるかが脳内辞書による違いです。

【口癖によるキャラクター化】
動詞は行動に直結しますので、口癖にもなりやすく、あえて連発させてキャラクター化することもできます。

例えば、上のアメフト用語を日常で何にもで使うことで、たいしたことではないことにも「よし、新しい味にトライしてみよう!」とか暑苦しいキャラクターにしたり、理系キャラであれば大惨事にも「ふむふむ、こういう結果がでたか」など冷静に分析していたり、何かあるごとにリアクションとして「ああ、もう死にたい」というキャラクターなど、どこかのラノベにいそうです。
これらはマンガ向けのキャラですが、現実の世界でも無意識に「でも……」「だけど……」という逆接を口癖にするネガティブな人がいたり、「~すべき」だという思い込みに囚われて、周りや自分を束縛している人がほとんどです。そこを掘り下げていくとキャラクターコアにつながっていきます。これについては後日、改めて考えていきます。

次回は……キャラクター概論23「言動決定要素④脳内辞書:形容詞の使い分け」

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緋片イルカ 2019/08/09

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