キャラクター概論17「言動決定要素③気質:価値観との二面性」

これまで6つの言動決定要素のうち「気質」について考えてきました。ひきつづき考えていきます。

【価値観と気質の二面性】
以前に、2つの価値観で二面性をつくることを考えましたが、「価値観」と「気質」で二面性をつくることもできます。

例えば、こんなキャラクター。

いつもは明るくポジティブなOL。「笑顔は人を幸せにする」という価値観を持っている。
しかし「気質」は内向的でネガティブな反応ばかりしている。

彼女の内面はこんなかんじです。

ある朝、職場へ行くと同僚の女性が旅行のおみやげを配っているが、なぜか自分のところへはやってこない。
「もしかして私だけ仲間外れ? 同僚は私のことを嫌っている?」
内向的でネガティブな反応をしています。そこで価値観が発動。

「笑顔は人を幸せにする」

彼女はニッっと笑顔をつくり、同僚の元へいく。
「なになに? どこか行ってきたの?」
同僚も笑顔で返して、おみやげをくれる。

このOLの表面的な行動だけ見れば、明るく問題もありませんが、内心ではいつもビクビクと生活しているかもしれません。
そこには内向的な「気質」があるのです。

ちなみに脚本で書くと、以下のようになります。

○職場(朝)
   A子が出勤すると、B美の周りに人が集まっている。
B美「温泉すごいよかったです。あれ、これ、おみやげです。みなさんどうぞ」
   A子、B美を横目に見ながらデスクにつく。
   B美達の笑い声が響く。
   A子、鏡を出して、笑顔をつくる。
   デスクを立って、
A子「どっか行ってきたの?」
B美「あ、はい。実は……」

この場合、「B美を横目に見ながらデスクにつく」や「A子、鏡を出して笑顔をつくる」といったト書きが、A子の正確描写になっています。映像にしたら、撮り方に工夫がいります。こういった細かい心理描写を演出できなかったり、読みとれない人も多くいるのが残念です。ちなみに描写がない脚本では以下のようになります。

○職場(朝)
   A子が出勤すると、B美の周りに人が集まっている。
B美「温泉すごいよかったです。あれ、これ、おみやげです。みなさんどうぞ」
A子「どっか行ってきたの?」
B美「あ、はい。実は……」

A子が内心は全く見えません。しかし、読みやすいのでこういう脚本を好んでしまう人が多い気がします。

つい愚痴になってしまいましたが、次回は、改めて、このOLのキャラクターアークについて考えていきます。

次回は……キャラクター概論18「言動決定要素③気質:気質ではキャラクターアークにならない」
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緋片イルカ 2019/07/27

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