物語をどう捉えるかによりますが……
物語をパターンに分けるときに、僕が必ず話してたいるのが「ストーリータイプ」と「プロットタイプ」の違いです。
「ストーリータイプ」は、とくに定義のないままの分類で、たとえば「戦争もの」とか「コメディ」ぐらいのジャンル分けから、「ゾンビもの」、『ボヘミアン・ラプソディ』のような実在ミュージシャンものとか、トムクルーズのアクション、ウディ・アレンっぽいラブストーリーとかまで、類似する作品がいくつか浮かぶようなものであれば、グループ分けしてよいと考えます。
このタイプ分けは、企画を立てるときに有効です。
「ゾンビもの」をやろうというところから、真剣なホラーにするか、サバイバルものにするか、SFや、コメディや恋愛だってありえるでしょう。その物語の、特徴的な部分から作品を考えるので、そのままフックになることもありえます。
「プロットタイプ」は、主に構成上での分類です。これは、分析をしたことがなかったり、ビートに対する理解がない人にはわかりません。同じようなストーリーでも、分析してみると、構成が大きく違うことはよくあります。一方で、全く違うように見える映画でも、分析してみると同じような展開をしていることもあります。
このタイプ分けは、プロットや構成を立てるときに有効です。
物語を「家」にたとえるなら、プロットタイプは柱や骨組みなどのパッと見には見えない部分、ストーリータイプは内装など目に見える部分と言えるでしょう。
もちろん、目に見えないと言っても、プロの設計士がそうであるように、物語の分析に慣れれば、パッとストーリーを聞いただけでも、おおよその内部構造が推測できるようになります。
参考:「三幕構成と恋愛(プロットタイプとストーリータイプの違い)」(三幕構成25)
「ブレイクスナイダーさん」とおっしゃっているのは「10のストーリータイプ」のことだと思いますが、この本では10の大きなタイプの下に、それぞれを細かい5つに分けているので、10×5で50個のタイプに分けられています。
これだけの分類をしていることには、とても意味があると思い、映画分析会でも、これらのタイプを使いながら解説をしていますが、この分類には「ストーリータイプ」と「プロットタイプ」という考えがないため、ごちゃまぜになっている印象を受けます。ムリがあると感じるところもあります。
では、いくつあるのか?という話になると、僕はわかりません。
僕自身がタイプとして呼んでいるものでいえば、ストーリータイプでは70ぐらい、プロットタイプでも20ぐらいはあったと思いますが、正確に記録しているわけではないのでわかりません(ちなみに僕にとっては商売道具でもあるので、サイトの記事にしたくないものが、たくさんあります)。
分類するのは研究者の仕事で、作家の仕事ではない、と僕は考えます。
面白い作品があれば、それを真似した類似作品が作られて、いつの間にか、ひとつのタイプになっていきます。
昆虫や植物の新種を発見するように、新しい型を見つけ出していくことこそが、作家の仕事ではないでしょうか?
なお、民話学などには、膨大な物語を分類した研究などもありますが、そこまで行くと、創作にはあまり役立たないと感じます。AIによる物語創作などには使えるかもしれませんが。
とはいえ、新しい型を生み出すヒントは、案外、そういった人が注目していないところに落ちているとも思います。
これは新種の発見と同じでしょう。すぐ身近にあるのに、誰も注目していないから、新種と認定されていないような昆虫や植物はたくさんあるはずです。
もしも、面白い型を見つけられたら、どうぞ教えていただけたら嬉しいです。僕が隠して持っているカードとトレードしませんか?笑
緋片イルカ 2021/12/26
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