プロットを考える6「主人公のセットアップ」

初心者の方はこちらからどうぞ→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」

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前回は、映画の冒頭ではジャンルをきちんと明確にしておくことを考えました。
次に登場するのは「主人公」(プロタゴニストprotagonist)です。

物語に登場するキャラクターには「ロール」(役割)があります。
中心人物(ふつうは主人公)に対して、どういう役割を果たすかによってロールが決まります。
・アンタゴニストantagonist(敵対者、ライバル、シャドウ)
・メンターmentor(師匠、オールドワイズマン)
・サイドキックsidekick(助手)
・エモーションemotion(感情的な仲間)
・スケプティックskeptic(理性的な仲間)
・トリックスターtrickster(敵か味方かわからない)
などなど。
ユング心理学の原型論と重なる部分も多くあります。

ロールは一人のキャラクターにつき、一つというわけではありません。
また、物語内で変化することが多々あります。
わかりやすいのは「仲間であったキャラクターが敵になる」という裏切りですが、これは物語分析では「キャラクターのロール」が変化することです。
ロールについてはプロットのあとで細かく考えていきます。
今回は物語の中心である「主人公」のロールについて考えます。

主人公は読者・観客の視点になります。
共感してもらうのが理想ですが、最低限でも主人公のことを知ってもらう必要があります。つまり、主人公の紹介する必要があるのです。
した上で、共感してもらえるかどうかは観客に委ねるしかありません。
共感してもらえるように紹介の仕方に工夫をこらすのは作者の技量ですが、ビートとしては「紹介すること」が最低条件です。

主人公の何を紹介するべきか?

ジャンルであったり、その後の展開に影響をうけますが、以下ようなことは想定しておくべきです。

・願望
ログラインでも考えた「○○したい」という願望です。
特に願望がないのであれば、「今のまま続いて欲しい」という願望を持っていることになります。
その日常が崩れるところから旅が始まるのです。

・家庭
食べる、寝る、風呂に入るといった生きるために必要な日常行動をどこで、どのようにしているのか。
家族があれば、そういうった生活を共にしているはずです。

・仕事
生きていくために必要な食料、金銭を得ることが仕事です。
原始時代であれば狩猟や農耕になりますが、現代であれば収入源と置き換えることもできます。
具体的な月収まで想定すると、生活にリアリティがでてきます。

・遊び
1日は24時間、そのうち家庭、仕事以外の時間をどのように過ごしているか。
趣味や遊びのようなものでなく、「ベンチにただボーッと過ごしている」なら、それがその人にとって必要な時間です。
自動車のハンドルのあそびという時のような「あそび」です。
ワーカホリックであればゼロに近いかもしれませんが。

SFやファンタジーのような非現実的な世界であれ、あいまいであると読者・観客に疑問をもたれます。
反対に、一般的であえて説明するまでもないような暮らしであれば、あえてシーンとして見せる必要もありません。
それらの判断は、全体との調整になるので、一概にはいえません。

★まとめ:
・主人公の「ロール」は観客・読者の視点・中心になること。
・視点・中心が定まらないと他のキャラクターが紹介できない(「ロール」が決まらない)。
・つまり「主人公」を最初に紹介する。
・共感されやすい工夫は凝らすべきだが、観客・読者に委ねられている。
・自己紹介には、「願望」「家庭」「仕事」「遊び」がある。

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