初心者向けQ&A④「構成のせいでパターン化しないか?」

おはようございます、ブタさん。それでは三幕構成の優れている点の3つ目について話していきましょう。

ちょっと待てブー。

ん? どうしました?

前回、三幕構成には「ビート」という細かい構成要素があると言ったよな? そこまでガチガチに定義したら、物語がパターン化して、つまらなくなるんじゃねえか?

ブタさん、鋭いですね。そう思う人は多いようです。「ハリウッドっぽい」と言われるように王道パターンにはまってしまって、いつも同じ展開で面白くない、という人はいます。しかし、そういう映画は本質を理解しないまま、ビートを活用しているからです。

つまり、小手先ってことか?

そうです。構成に関する考え方やビートの意義は日々、アップデートされています。これこそが三幕構成の優れている点の3つ目なのです。本を一冊読んだだけでわかったような気になっている人がたまにいますが、その本が出版された年を確認してほしいと思います。日本で翻訳されている本はハリウッドの10~20年遅れだったりすることもざらにあります。

じゃあ三幕構成よりも新しい理論もあるってことか?

いえ、あくまでベースは三幕構成です。「ビート」の呼び方が違ったり、新しい要素を加える人もいますが本質的な流れは同じです。「キャラクターこそ命だ!」と言って、構成を軽視する人もいますが、構成とキャラクターは噛み合ってこそ機能するもので、キャラクターに関する研究もかなり深くなっています。

なるほど、知っておいて損はなさそうだな。

物語を書く人には、損はないどころか、知ってて当然になってくると思います。実際、ハリウッドでは企画書を「ビート」で出すのが当り前だそうです。

よし、イルカ。オレも三幕構成を少し学んでやるから、これからも、カンタンにサクっと教えろよ。

わかりました。まずは「ログライン」から学んでいきましょう。具体的に知りたい方はログラインを考える1「フックのある企画から」へどうぞ。音声解説もあります。質問があれば下記コメント欄かお問い合わせへどうぞ。

..zzz

次回→三幕構成Q&A⑤「ログラインって何?」

初回→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」

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『初心者向けQ&A④「構成のせいでパターン化しないか?」』へのコメント

  1. アバター 名前:みみたぶ 投稿日:2019/05/22(水) 15:14:41 ID:96824cf49 返信

    こんにちは、構成のお勉強のお供としてお世話になっています。
    シドフィールドはまだ読みませんが、save the cat1冊目は読み終えたところです。

    ビートについて質問があります。
    「迫り来る悪い奴ら(フォール)」の置き方がイマイチわかりません。「敵」の考え方捉え方が知りたいです。
    個人的に好きな物語、映画「ティファニーで朝食を/カポーティ」・小説「フォスフォレッセンス/太宰治」「パトロネ/藤野可織」でビートの分析をしたところ、なかなかしっくり来ない部分が多くて…
    (どちらも賛否両論で、ビート分析してみると確かに葛藤の乗り越え方が曖昧だということが分かりました。そういった部分が批判されているのかも…)
    三幕構成以外にメジャーな構成の仕方があるのでしょうか

    また、三幕構成を意識したときの物語のストーリーアーク(?キャラクターアークの物語版)は常に同じ曲線を描くことになるのでしょうか?
    例えばホラーはx軸に線対称の曲線が多いように思います。

    さらにその場合の各ビートの考え方など教えていただければ幸いです。
    とくにスナイダー氏のビート解説では全て上り調子の物語になってしまい、転落物語を作る際の参考になり辛く、悩んでいます。

    なんだかとりとめのない質問ばかりになりましたが、回答頂ければ嬉しいです。

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    • 緋片 イルカ 名前:緋片 イルカ 投稿日:2019/05/22(水) 21:52:42 ID:6381bc923 返信

      みみたぶさん、コメントありがとうございます。
      サイトを参考にしていただけて光栄です。

      順番にお答えしていきますね。

      まず、「迫り来る悪い奴ら(フォール)」はアクション映画で見るととても、わかりやすいかと思います。
      「悪い奴ら」の言葉通りに新たな敵や黒幕が登場したり、敵側の新たな作戦が実行されるなどが起こります。主人公はミッドポイントで何らかの成功をおさめているので、それに対して、さらなる強敵というかんじです。

      ただしフォールの時点では、観客にだけわかる「危機の予感」ぐらいで、直接的に主人公に迫るのは次の「ディフィート」などで起きることが多いと思います。観客からすると「ああ、やばいことになるぞ……」という感じです。

      アークをジェットコースターに喩えている人もいましたが、ミッドポイントまで登りきって、ゆっくりと落下を開始し始める地点というニュアンスもわかりやすいかもしれません。

      不勉強で申し訳ないのですが、挙げていただいた3作品については分析したこがなく即答できません。機会があったら、ぜひ分析してアップしていきたいと思います。

      今、パッと思いつく例としては「ブロークバックマウンテン」という同性愛の映画では主人公の男が、愛する男と再会してキスをするところが「ミッドポイント」。直後に、そのキスを妻に見られてしまいます。これがフォールだなと思います。これ以降、夫婦関係がギクシャクしていきます。

      「グラディエーター」では剣闘士として勝ち上がっていった主人公が「ミッドポイント」で、その直後に敵の皇帝が主人公の正体に気づくシーンがあったはずです。観客は「主人公の戦いがこのまま上手くはいかないな」という予感を抱きます。このあたりがフォールになると思います。

      1+
      • アバター 名前:みみたぶ 投稿日:2019/05/22(水) 22:35:45 ID:66797b7b0 返信

        おはやい返信ありがとうございます。
        フォールについてもう少しだけお願いします。

        わたしの好きな映画のひとつにジムキャリー主演「マスク」があります。これは主人公のwantとneedがわかりやすく、さらにマフィアという黒幕もキチンと登場して、分析にはまさに打って付けの作品だと思います。

        他方で、これもジムキャリー主演の「イエスマン/yesは人生のパスワード」という映画がありますが、こちらは明確な黒幕というのが存在しません。
        強いて言うなら主人公を誤認逮捕するからFBI捜査官たちですが、敵というよりも主人公カップルの仲を拗らせるためのチョイ役の印象が強いです。

        「敵」を出すことでリアリティが薄れる場合、フォールでは必ずしも「敵」を配置する必要はないのでしょうか?(フォールというビートは必須ではない?)
        それとも次のディフィートへ繋ぐために何かしら配置したものが「敵」の役割を担うのでしょうか?

        たとえば
        〈主人公が木の根につまづいて通行人の女性の胸にタッチする→恋人が勘違いする〉
        という流れなら木の根や通行人もしくは恋人が「敵」になるのでしょうか

        何度もすみませんが、回答頂ければ嬉しいです。

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        • 緋片 イルカ 名前:緋片 イルカ 投稿日:2019/05/23(木) 01:44:21 ID:25fb6e967 返信

          ジムキャリーの映画はシンプルでとても分析もしやすいですよね(そして面白い!)。
          『イエスマン』は僕も好きな映画です。Amazon Primeにあったので確認してみたら、つい最後までみてしまったので分析してみました。
          こまかいビートについてはこちらをご覧いただければ幸いですが、ご質問の「フォール」に関してですが、

          プロットポイント1で「何でもYESという誓いを立てた」主人公は、人生がどんどん好転していきます。この好転していく感じがキャラクター的にもストーリー的にも上っていっていると思います。
          人生の幸せとでもいいましょうか、その頂点であるミッドポイントでアリソンという女性と再会します。
          これ以降は「YES」と言うだけではうまくいかない状況が増えていき、FBI捜査官に誤認逮捕された後、アリソンを怒らせて別れを告げられます(逮捕よりもこちらがストーリー上では重要です)。
          その後、主人公がどういう決断をして何を得るかは、ご承知の通りだと思います(一応、ネタバレ避けました)。

          ブレイク・スナイダーの「迫り来る悪いヤツら」という言い方が具体的すぎて、「敵」が出てこないことは多いので、僕は抽象的な「フォール」という言い方に呼び変えて使っています。
          あくまで、どういうアークでミッドポイントに上ってきて、その方向がシフトするかというイメージが大事だと思います。

          また、「ディフィート」も、敵が現れた場合は、攻撃を受けてディフィート(敗北)しますが、単にサブプロットとしてピンチ1、ピンチ2としてビートがある映画も多くあります。
          『イエスマン』もそのパターンでした。ピンチ1、ピンチ2ともにアリソンとバイクでデートして、キスをしているのは見事に対になっていますし、1と2では状況が全く違うということが、主人公の成長や変化を表すことに寄与しています。

          アクションやサスペンスでは「敵」がはっきりしたキャラクターでわかりやすいですが、敵が敵である理由は主人公の目的(wantでもneedでも)を邪魔する存在であるからです(そこに葛藤も生まれます)。
          『イエスマン』で言えば、主人公が「何でもyesと言う」目的をもっているので、主人公が本当はやりたくないことを頼んでくる相手(状況)はすべて小さい「敵」と呼んでしまってもよいと思います。
          アリソンと再会した「フォール」以降では、絶対にやりたくないこと(=アリソンを失うこと)を邪魔する状況が「真の敵」ともいえるかもしれません。

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    • 緋片 イルカ 名前:緋片 イルカ 投稿日:2019/05/22(水) 22:03:15 ID:6381bc923 返信

      三幕構成以外のメジャーな構成は、日本では「起承転結」と「序破急」だと思いますが、どちらも定義があいまいで語る人によってまるっきり違ったりします(ここにも書かせていただきました)。他にもオリジナルの理論や用語で語っている方もいると思いますが、僕はその辺りまでにはくわしくありません。

      三幕構成の利点は、アメリカではおおよその定義が共通理解としてあって、さらに日々アップデートされているところだと思います。

      ビートがわかると、他の理論は「ビートでいう○○と同じだな」という感じになりました。

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    • 緋片 イルカ 名前:緋片 イルカ 投稿日:2019/05/22(水) 22:18:18 ID:6381bc923 返信

      「アーク」というのは三幕構成の中でも、用語に曖昧さの残っている部分だなと感じています。みみたぶさんの仰るとおり、キャラクターアークと呼んだり、ストーリーアークと呼んだりされますね。

      ミッドポイントで一度、頂上に上るとして、何を基準にして上ったとするのか?という疑問が残ります。

      演出的には明らかにミッドポイントで盛り上げていることが多いので、雰囲気としては盛り上がっていると言えると思います。

      またストーリー的に盛り上がるというのは、ボクシング映画や件の「グラディエーター」など、わかりやすく勝ち上がっていくものもあります。

      「キャラクターアーク」といった場合、キャラクターの感情や成長変化としてアークを捉えることが多いようです。演出やストーリー的なアークと区別するために、造語で「プロットアーク」と呼ぶようにしてしまいました。

      K・Mワイランドという人は、変化しない主人公を「フラットなアーク」と呼んでいましたが、主人公が変化しないときでも直線になるわけではなく、周りの人間が変化したりするので、それに合わせてアークはカーブさせた方が捉えやすいような気がします。
      (僕の定義では「キャラクターアーク」ではフラットでも、「プロットアーク」ではカーブがあることになります。よろしければこちらもご参照ください)。

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    • 緋片 イルカ 名前:緋片 イルカ 投稿日:2019/05/22(水) 22:52:27 ID:6381bc923 返信

      曲線(アーク)の描かれ方については、アーク自体をキャラクターアークとしてとるか、プロットやストーリーとしてのアークとしてとるかという前提にもよりますが、常に同じ曲線になるということは決してありません。

      キャラクターアークでいえば、さきのKMワイランドさんは「ポジティブ・フラット・ネガティブ」にわけていますし、物語のアークとしては「ベストセラーコード」という本にはAIが見つけた7つのアークと、具体的な作品が載っていました。(ベストセラーコードについてはこちらにあります)

      「アーク」を1つしか描けない人は「主人公は必ず成長する」と言い切っているのと同じだと思いますが、その考え方は古いか、自分で分析をしたことがない人の意見だと僕は思っています。

      みみたぶさんの仰るとおり、ホラー映画は感覚的に、下がっているという感じがしますね。
      「恐怖=マイナス」と捉えているかんじではないかと思います。アークの基準は曖昧なので、上でも下でも、主観的に捉えやすい方で捉えてしまって良いと思います。

      キャラクターアークとして重要なのは、アクト2に入った主人公は「目的」を持っていると思います。ホラー映画なら「この建物から脱出する」とか「行方不明の仲間を探す」とか。

      ミッドポイントではその目的が達成されていることが多くあります。いったん建物から出るが、呪いからは逃げられないといったあたりはまさに「フォール」ですし、行方不明だった仲間が戻ってくるか、死体で見つかったりしても、それ以降は「目的」が変化するので、その方向転換は「フォール」の開始になると思います。(下っていたアークなら「アップ」と捉えていいと思います)。

      長々といろいろ書いてしまう性分のため、みみたぶさんの望むお答えになっているか心配です。
      手前味噌のリンクばかり貼ってすみません。
      専門的や細かい話ほど好きだったりするので、また何かあれば、コメントいただけたら嬉しいです。

      掲示板もつくってみたので、よかったら、気軽な雑談でも、こちらにもどうぞ。
      ビートや分析などけっして答えがあるものではないので、いろいろな人の意見が入ってくるのがとても面白いと思っております。

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      • アバター 名前:みみたぶ 投稿日:2019/05/22(水) 23:16:17 ID:66797b7b0 返信

        何度も何度もありがとうございます。
        イルカ様のHPは要点を絞ってまとめられていますので実を言うと大体のページは読み終えた後なんです笑
        これからも刺激的な分析を期待しています!

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        • 緋片 イルカ 名前:緋片 イルカ 投稿日:2019/05/23(木) 01:44:41 ID:25fb6e967 返信

          お読みいただいてありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

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