※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。
※あらすじはリンク先でご覧下さい。
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【ログライン】
夫マーティン・バーニー(パトリック・バーギン)の暴力によって支配されたローラ(ジュリア・ロバーツ)が死を装って夫から逃げ、新たな人生を送ろうとするが、追いかけてきた夫を殺して自由を得る。
【ビートシート】
Image1「オープニングイメージ」:「浜辺で貝を掘るローラ、そこに夫マーティンが来る」赤いフィルターがかった映像から浜辺でローラが貝を掘っている。そこに仕事中でスーツ姿の夫マーティンがやって来る。仕事でパーティになるというが断るという。ローラは彼を止め、貝のスープは明日にすると言い、2人は抱き合うと、彼に砂がついて彼女は謝る。このシーンの意味は徐々に明らかになる。
CC「主人公のセットアップ」:「マーティンに支配されるローラ」 パーティの準備でローラはドレスをマーティンが選んだものに変えさせられる。パーティの間、マーティンの目はローラを追っていて、笑顔で応えるローラ。2人は仲が良いようにも見える。
翌日トレーニングするマーティンはバスルームのタオルのかけ方がズレていることでローラに注意する。台所の戸棚の缶詰を怯えたように整えるローラ。夫は神経質なようだ。
ヨットを使う隣人との会話でローラが泳げないことがわかる。
Catalyst「カタリスト」:「マーティンがローラを殴る」10分たったところで、マーティンがローラと隣人の若い医師と話したのではないかと疑い、嫉妬から突然ローラを殴る。
Debate「ディベート」:「浜辺の電灯を壊す」 マーティンはローラに殴ったことを謝り、セーリングに誘う。「怖がっていたらいつまでも克服できない」これがこの作品のテーマでもある。彼女は夫の恐怖を克服しなければならない。ローラは浜辺の電灯を壊す。
そして夜、マーティンと隣人とのセーリングに出発する。
Death「デス」:「ローラは海に消えてしまう」ヨットは嵐に見舞われ、三角帆が外れてしまう。必死で帆を繋ぐマーティンたち、気づくとローラの姿は無かった。捜索隊が出てローラの救命胴衣だけが見つかる。帰宅したマーティンが家の銅像を窓に投げつけ、ローラの名を叫ぶ。そして、ローラの葬儀シーン。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「死を装って逃げたローラ」続いて、ローラの回想シーンで実は逃亡していたことが判明する。ローラは泳ぎの練習をしていて、家の場所の目印にするために電灯を割ったのだ。彼女は荷物をまとめ、髪を切って、かつらをかぶり、結婚指輪をトイレに流して、バスに乗り込む。逃亡して新たな人生を始める、第2幕に入る。
Battle「バトル」:「逃亡、新たな土地、人生」ローラが夫から逃げ、新たな土地で、新しい人生を始めようとするのが「バトル」であり、この作品の「お楽しみ」だ。
(「ジャンルのセットアップ」「ヒューマンドラマ」)
Pinch1「ピンチ1」:「歌い踊る隣人の男」ローラは新しい家を借りて、新たな生活を始める。そこで、歌い踊りながら庭に水を撒く隣人の男、ベン・ウッドワード(ケヴィン・アンダーソン)と出会う。ローラの新しい生活を助けてくれる彼とのロマンスが「台風の目」であり、「サブプロット」になる。
MP「ミッドポイント」:「ベンから食事の誘い」ベンの助けのお陰でローラは仕事を始められ、彼ともうまくいきそうになるが、「まやかしの勝利」で、「いきなり危険度がアップ」して、マーティンはローラが水泳教室に通っていたことを知り、トイレで結婚指輪を発見する。
Fall start「フォール」:「ローラ、本当の名前は教えられない」ベンはスーパーでローラの偽名を悟り、本当の名前を聞くが、ローラは拒否する。一方、パトリックは探偵に母親の居所を探させる。
Pinch2「ピンチ2」:「パレードの再会」ピンチ1の対。自由を象徴する独立記念日のパレードにローラはベンと再会する。そして、PP2の演劇科衣装試着に向かう。
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「ローラはベンを拒否する」ベンに案内されて演劇科の衣装を次々と試着して遊ぶローラ。2人は踊り、愛し合おうとするが、突然ローラはベンを拒否する。男性への恐怖を克服できていないのだ。
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「ローラはベンに過去を告白する」遂にローラはベンに前夫との過去を打ち明ける。
BBビッグバトル:「ベンがローラを男装させて、母に会いに行かせる」ベンの助けによってローラは男装して、母に会いに行く。そこで、母から「強い娘」と励まされる。パトリックは刑事を装って母親からローラの居場所を聞き出して、対峙することになる。パトリックはベンを打ちのめすと、ローラは反撃し警察を呼んで、パトリックを撃ち殺す。
image2「ファイナルイメージ」:「パトリックと結婚指輪」ローラとベンが抱き合う。パトリックの遺体の結婚指輪をはめた手の伸ばした先にはローラの結婚指輪が光る。
【感想】
「好き」3点 「作品」4点 「脚本」4点
「難題に直面した凡人」「家庭内困難」の代表例。DVを題材に女性の成長ドラマとサイコスリラー仕立てで、よく構成されている。今から見ると、見慣れてしまった題材で、サスペンスの仕掛けもわざとらしく感じるところもある。ミッドポイントの勝利感とメインとサブの交差がすこし弱いようにも思えるが、90分ほどと短く全体としては力強さがある。
30年前の作品だが、パトリックの死が仕方ないと思わせるくらいにDVの問題がいまだ現在進行形なのだと感じてしまった。
(川尻佳司、2023/1/6)