※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。
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【ログライン】
家の中しか知らなかった長女は、クリスティーナと出会い、クリスティーナの持っていたビデオテープ(映画)を見たことで、外の世界への興味を強め、家から出ようとする話。
【ビートシート】
Image1「オープニングイメージ」:「カセットテープ」カセットテープが映る。そこから聞こえてくるのは、母親の音声。単語の意味を解説しているが、全くのデタラメ。嘘の内容を話している。
CC「主人公のセットアップ」:「カセットテープを聞く長男・長女・次女。熱湯の遊び」お風呂場で、カセットテープを聞いている。兄は上半身裸(多分、下着のみ)、長女・次女も下着。カセットテープから流れるのは海は革張りのアームチェアの事など、デタラメの内容。その後、熱湯の遊びを次女が提案。普通ならしないような遊びなので、この3人の異様さが表現されている。
(「ジャンルのセットアップ」)
Catalyst「カタリスト」:「クリスティーナが来る」クリスティーナと話す長女。初めての訪問者が嬉しい様子。クリスティーナのしているカチューシャが気になる。クリスティーナは夜に光り、自分の手作りだと伝える。
Debate「ディベート」:「クリスティーナにカチューシャをあげると言われる」クリスティーナの二度目の訪問。部屋に来たクリスティーナにカチューシャをあげると言われる。ただし、その代わりになる何かをくれと条件を出される。
Death「デス」:「クリスティーナの要求に従う」カチューシャの代わりになるもの(消しゴム付き鉛筆やメジャー)を提示するが断られる。下着を脱いだクリスティーナに股を舐めるよう要求される。それに従う長女。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「妹に肩を舐めさせる」カチューシャを手に入れた長女はそれを使って妹に肩を舐めさせる。自分に従わせることを覚えた長女。
Battle「バトル」:「兄弟が外で死んだと聞かされる」いまいち設定がよく分からなかった部分だが(この映画の父親母親もこの設定に疲れていた模様)兄弟が塀の外にいるという事を聞かされていたらしい。兄が猫を虐待したことで、外にいるネコに兄弟がやられたということを聞かされ、訓練(撃退するための犬の鳴き真似)をする。
Pinch1「ピンチ1」:「」
MP「ミッドポイント」:「ビデオテープ(映画)を手に入れる」部屋に来たクリスティーナ。ヘアジェルをあげると言われるが、断る。嘘つきとクリスティーナを罵り、父親へ告げ口すると脅す。ヘアジェルじゃなくてもっと面白いものが欲しいとバッグの中身を漁り、ビデオテープを手に入れる。
Fall start「フォール」:「夜中に起きているのが見つかる」夜中に映画を見る長女。父親が起きてきてギリギリのところで見つかるのを回避するが、映画鑑賞後、映画の内容を真似ることが増えたことで、結局、ビデオテープが父親にバレて、殴られる。クリスティーナもひどい目に合う。
Pinch2「ピンチ2」:「」
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「兄とのsex」クリスティーナがダメになったので、代わりを探す父親は姉妹を兄の性欲処理にあてがう。目をつぶった状態で2人の体を触らせて選ばせる。結局、長女が選ばれ、兄とsexすることになる。事後、映画のセリフを真似る長女。
BBビッグバトル:「結婚記念日でのダンス・犬歯を折る」父母の結婚記念日にダンスを披露する。映画フラッシュダンスを真似たダンスを披露し、途中で母親に止められる。また、その後、自分の犬歯をダンベルで叩き、無理やり抜く。血だらけになる洗面所と家を出て、トランクに入る長女。
image2「ファイナルイメージ」:「暗闇」最初のイメージと関連性があるわけではない。ただ、長女だけでなく家族のその後を表しているような印象を受けた。
エピローグ:
【感想】
好き2点 映画4点 脚本3点
トラウマレベルの気持ち悪さを感じた映画だった。サイコ系好きな人以外にオススメは出来ない。観たあとに嘔吐したくなるというか…とにかく、変な感じの残る映画…。ここまで気持ち悪くさせるのは凄い。猫虐待シーンは精神衛生上、早送りしました。(あそこだけはモザイクかかってようが無理)犬のしつけ教室の人のセリフと口の動きだけで会話する夫婦が印象的でした。個人的に残念だったのは母親。なんだか中途半端。丁度、父親と子どもの間にいるとしたらあんなものなのかもしれないが、もう少し父親側に寄って狂気染みていても良かったと思う。あと、最後は賛否分かれる終わり方だと感じた。
(米俵、2023.2.6)
映画『籠の中の乙女』全体(ショット1) ※一般非公開記事
米俵さん、本作お勧めする際にもっとワーニングすべきでしたね、、すみません笑。ここまで生理的、倫理的に反するだろう描写を容赦なく全部詰め込んだ作品も少ないですよね。嘔吐を引き起こすほど、というのは本当にそうだと思いますし、そこがテーマを表現するための監督の意図なのだろうなとは思います。「コントロールされることで、嘔吐を催すほど生理的に破綻した感覚をもつ人格形成がされ得るかもしれない。その感覚は是正されることがあるのか」と。異常なコントロールが引き起こす弊害を表す強烈なやり方ですよね、徹底的に全シーン気持ち悪いですもんね(しかし、そこに少しだけ感じ取れるコメディ的な間とかでギリギリ見れるようにはしてるバランス感覚もすごい気がしています)。そのユニークな振り切り方で、カンヌの「ある視点賞」などでも評価されているのだろうなと思います。「好き」2点 「作品」5点 「脚本」4点