映画『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』(三幕構成分析#191)

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※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。

【ログライン】

のび太はユートピアに招待されそこで生活するが、ユートピアの真実を知り、脱出を試み、ユートピアの住民を救う。
【フック/テーマ】
もし理想郷が存在したら?

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「何かに逃げられるタイムパトロール」
何かに逃げられたタイムパトロール。見るとそこには三日月型の大きな穴。
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「ファンタジー」
大きな事件が起こりそうな予感が漂っている。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「ユートピアに住みたい」
教室で出来杉からユートピアについて聞くのび太。いじわるな奴がいなく、争いもない平和な世界と知ったのび太はユートピアに住みたくなる。
want「主人公のセットアップ」:「ダメな奴のび太」
テストは0点、野球では活躍できずにジャイアンに殴られるといったいつものダメなのび太が紹介される。
Catalyst「カタリスト」:「空に浮かぶ島を目にする」
裏山にいたのび太は空に浮かぶ島を目にする。
Debate「ディベート」:「ユートピア探し」
空に浮かぶ島をユートピアだと信じるのび太。ドラえもん、ジャイアン達とユートピアを探し始めるがなかなか見つからない。
Death「デス」:「攻撃される」
諦めかけたとき、ユートピアを発見。しかし、謎の集団に襲われ意識を失うのび太たち。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「目を覚ますとユートピアだった」
のび太たちが目を覚ますとそこは空飛ぶ島の内部だった。先程襲ってきたのはソーニャという猫型ロボットでユートピアの警備隊らしい。
F&G「ファン&ゲーム」:「ユートピアでの生活」
ソーニャに中を案内されるのび太たち。ユートピアの生活、”算数体育”の授業がF&G。ユートピアでの理想的な生活に魅力を感じたのび太は、自分もパーフェクトになりたいと張り切る。
Battle「バトル」:「落ちこぼれののび太」
パーフェクトになりたいのび太は懸命に授業に取り組むが、1人落ちこぼれる。ジャイアンとスネ夫はそんなのび太をバカにするどころかなぜか励ます。
Pinch1/Sub1「ピンチ1」/「サブ1」:「怪しい侵入者」
警備の目をくぐり抜けて侵入者がユートピア内に入り込む。
MP「ミッドポイント」:「ユートピアの真実」
三賢人を狙う侵入者を返り討ちにするのび太とドラえもん。一件落着かに思われたが、学園の生徒・ハンナから思わぬ真実を知らされるのび太。三賢人は人を操る能力を持っていて、ユートピアの住民を操っているらしい。また、先程の侵入者は実はタイムパトロールの仲間でハンナが頼んだそうだ。
Reward「リワード」:「ユートピアの真実」
Fall start「フォール」:「脱出作戦開始」
タイムパトロールに救援を要請するために脱出を試みるのび太とドラえもん。
Pinch2/Sub2「ピンチ2」/「サブ2」:「脱出失敗」
しかし追ってきたソーニャに捕まり、三賢人の前に引っ張り出されてしまう。
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「ドラえもんやられる」
三賢人は人の心を操り、世界中の人々を操るという世界パラダピアン計画を企てていた。止めようとするドラえもんだったが、三賢人に操られたのび太によって光線で撃たれてしまう。
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「説得するのび太」
ドラえもんの無惨な姿を見て心を取り戻すのび太。心を失ったままのジャイアン、スネ夫、しずかに脱出しようと必死の説得。
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「心を取り戻すジャイアン達」
のび太の必死の説得に心を取り戻すジャイアン達。三賢人に屈しない姿を見て真の黒幕・レイ博士が姿を現す。レイ博士は人の心が思い通りにならないとわかると怒りを露わにし、街を破壊しようとする。
Twist「ツイスト」:「街の破壊を阻止」
墜落するユートピアを四次元ゴミ袋で吸い取り、街を守ることに成功したのび太たち。が、袋の中でユートピアのエネルギーが暴走し、このままだと爆発してしまう。
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「犠牲になったソーニャ」
ソーニャは自らが犠牲になることで爆発を収めたのだった。
Epilog「エピローグ」:「ソーニャの部品」
爆発した部品の中からソーニャの記憶チップを見つけるドラえもん。未来に持って帰って修復が可能のよう。
Image2「ファイナルイメージ」:「いつもの日常」
いつもの日常が帰ってくる。「ユートピアなんかいらなかったんだ」と晴れやかな気分ののび太だが、0点のテストがママに見つかり怒られる。

【作品コンセプトや魅力】

理想郷という言葉のうさん臭さから、何か裏があるんだろうなと興味を持った。

【問題点と改善案】(ツイストアイデア)

問題
ユートピアがそこまで酷い場所に思えない点。というのもユートピアに暮らす人々は自ら志願してきた人だけなのだ。そして奴隷のように働かされているわけでもなく、よく働きよく運動するといった健康的な生活を送っているとされている。これではいくら三賢人が心を操っているとしても、そこまで悪い話に思えないのだ。また、ユートピアに暮らす人々の描写がほとんどないため、話が小さくまとまっている気がする。

改善
ユートピアで健康的な生活を送るにせよ、志願制ではなく、記憶を消されて強制的に連れて来られた人々とした方が嫌悪感が出るのではないか。また、三賢人も心がない方がホラー感が出るのではないか。

【感想】

「好き」3「作品」4「脚本」3
作中でのび太に批判されているユートピアでの生活がそこまで悪いものに思えなかったため、ストーリーを好きになれなかった。ユートピアの真実を知ったあと、「パーフェクトになれると思ったのにな」とのび太が涙を流すシーンがあるのだが、そこは共感できた。
(石川、2024/03/06)

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