ドラマ『メンタリスト』シーズン4第21話(三幕構成分析#324)/通話分析会

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※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

【ログライン】

 CBIに捜査協力するジェーンは、キャバレーの外で発見された焼死体事件を調べる中で、容疑者たちたちに殺人以外の罪があることがわかり、彼らの罪を裁くために被害者は自殺したことを突き止めるが、実はドラァグクイーンたちが自殺を偽装しており、彼女たちの協力で被害者は女性として生きていることを、リズボンにだけ明かす。
【フック/テーマ】
 性的マイノリティ/フックと同じ

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「なし」
 ファイナルイメージと対になるものがないため、なし。
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「ジェーン、キャバレーへ」
 冒頭から、遺体発見現場のシーンで始まる。リズボンとジェーンが捜査するところから始まり、この作品は、事件の真相を突き止めるミステリー作品であることが示される。また、本話においては、キャバレー及びそこで働くドラァグクーンが重要な手がかりとなることが提示される。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「焼死体事件の真相を暴けるか」

want「主人公のセットアップ」:「不明」
 真相を暴くことにひたむきになっているような描写もなし。作品全体を通して考えると、家族を殺した宿敵“レッド・ジョン”を捕まえる(殺す?)という明確なwantがあるのだろうが、本話に関しては、関係がないように感じた。
Catalyst「カタリスト」:「車の所有者はアーチー」
 冒頭、事件発生をカタリストと位置付けてもよい気もする。シリーズものかつ1話完結ゆえに、GenreSetなどをなくして、進めることも可能かと思う。ただ今回は、現場検証と関係者たちへの聴取は、車の所有者がわかる以前と以後で、シークエンスが違うと捉えたため、ここをカタリストと置いた。
Debate「ディベート」:「捜査開始」
 車の所有者であるアーチーの関係者に、ジェーン、リズボンやCBIの面々はそれぞれ聴取を行う。そこでアーチーはゲイであったことが発覚する。
Death「デス」:「遺体はアーチーと断定」
 身元不明であった被害者は、車の所有者であるアーチー本人であると断定される。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「アーチーの虐待映像」
 アーチーは父から虐待を受けており、助けを求めていたことがわかる。
Battle「バトル」:「アーチー父を取り調べ」「本屋店主、ガブリエルの聴取」

Pinch1/Sub1「ピンチ1」/「サブ1」:「不明/なし」
 
MP「ミッドポイント」:「ジェーンはグレンダの昼の職場に行く」
 グレンダの昼の顔は死化粧師。ジェーンは彼ではなく、彼女として接し、証言を得ようとするが、グレンダは暗くて何もわからなかったと話す。
 MPらしいMPというわけではなさそうだ。ただ時間的な観点、主人公やメインのゲストであるグレンダが出ているシーンというところで、ここをMPと置いた。
Fall start「フォール」:「リグズビー、ニックを取り調べ」
 容疑者たちには、殺人以外に、虐待・薬物・暴力など、別の罪の証拠が次々と出てくる。ただしこれは犯人側の計画(意図通り)である。ジェーンも証拠を“提供”されたと告げており、真相に近づいているようで、遠ざかっていると考えることができる。
Pinch2/Sub2「ピンチ2」/「サブ2」:「不明/なし」

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「グレンダ、面通しの要請を受ける」
 ジェーンは再びグレンダに会いに、キャバレーに赴く。そこでフィフィ・ニックスに出会う。そしてグレンダに容疑者たちの面通しをしてほしいと依頼。何もわからないと、最初は後ろ向きのグレンダだったが、仲間の後押しもあり、受けることにする。
 面通しからの真相へと繋がるシークエンスは明らかにACT3である。そう考えると、PP2はその前にあると考えるのが自然で、この位置と判断。ただし、その後チョウのよくわからないシーン(本話しか視聴していないため、サマーとの関係値などが不明なため)の後、すぐに面通しのシーンへと移るため、ダークナイト・オブ・ザ・ソウルは“ない”と捉えた。
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「面通しが始まる」
 3人の男たちは誰も違うと、グレンダは証言。ジェーンは容疑者たちとグレンダを引き合わせ、アーチーは自殺したのだと告げる。
Twist「ツイスト」:「アーチーの死は偽装」
 しかし、アーチーは死んでいなかった。ジェーンはリズボンと共にキャバレーへ。フィフィ・ニックスこそがアーチーだった。
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「アーチーの死は偽装」
 グレンダたちが、アーチーが死ぬのを制止。彼の死を全員が協力して偽装した。そして嘘の証言をしていた。
Epilog「エピローグ」:「ショーを見る」
 フィフィ・ニックスの美声の中、物語の幕は閉じる。
Image2「ファイナルイメージ」:「なし」
 オープニングイメージと対になるものがないため、なし。

【作品コンセプトや魅力】

 1話完結1時間弱の物語。サブタイトルは色に関係する。縦軸として、ジェーンの家族を殺したレッド・ジョンを追うという物語が存在するが、本話においては関係なし。この話単体でも、とりわけ突っかかることなく楽しめる。

【感想】

「好き」3「作品」4「脚本」4
「被害者は他殺ではなく、自殺。ところが自殺しておらず生きている」
こういった類の真相はもはやクリシェとなっているように感じる。多くの作品を見すぎたせいか、本作を視聴しても、とりわけ驚きはなかった。放送当時からすると、感動的なものだったのかもしれない。
本話しか視聴していないため、チョウとサマーのシーンなどは、ただわけのわからないものにしか映らなかった。またジェーン単体で捜査を進めるのかと思っていたが、そうではなく、意外とチームで捜査を進める形式を取っていた。それゆえジェーンが出ていないシーンも多かった。
スリーポインツを考えるに際し、物語の切れ目を探すことに重きを置いた。主人公は特に変化しないため、キャラクターアークはない(と捉えた)。強いて変化するキャラクターがいるとすれば、メインゲストのグレンダ、もしくは被害者のアーチーということになるだろうが、登場シーンが少なく、スリーポインツと一致するとは考えるのは難しい。それゆえ視聴者目線に立った時の感覚を重視し、位置を捉えた。それらは主人公が登場しているシーンでもあり、メインゲストに関係するシーンでもあるため、個人的には納得である。
(山極瞭一朗、2026/10/07)

通話分析会レポート

Report07.5_mentalist_S4-21_261024.xlsx – 分析会

イルカからのメモ

●分析について
・シークエンスの捉え方とてもわかりやすいと思います。
1:遺体発見・現場検証
この回のセットアップ、シリーズものなのでキャラ紹介も省いている。これぐらいの入り方は日本でもありますね。

2:捜査開始(被害者不明)
被害者の身元が不明のまま、捜査開始でアーチーと断定することでデスとなるのも、その通り。

3:捜査(被害者判明後)
PP1としては問題ありません。ここでwantが、被害者特定から、犯人捜しに変わっていることに注目してください。PP1を文章として掴むときは「アーチーの虐待の映像を見る」といった「点」の言い方よりも「○○開始」という感覚でとるとよいと思います。「容疑者捜し開始」とか。警察なので「身元判明した時点」で、そのまま「容疑者捜し」に入ってしまうので、「点」でいうととりづらいでですが、しいてとるなら映像を見るで問題ないとは思います。課題など、ご自身の理解度を高めるためだけに分析をしているときなら、構いませんが、「PP1を文章として掴むとき」=仕事や分析内容を相手に伝えようとするときの感覚としては全体の構造が掴みやすい言い方にすると良いと思います。例えば、分析表内では「点」でとっていても、シークエンスの欄や、記事の文章の欄では「開始」していることが入っていて欲しいです。

4:容疑者たちの罪
MP到達後、シークエンスが変わるということは、そこでwantが満たされているということでもあります。シーンとしては掴めていますが、内容としては「容疑者捜し」の目的の頂点として「目撃者発見(グレンダ)」というポイントを掴んでください。これで犯人がわかる訳ではないのでFalseVictoryにもなってます。次のwantとしては「グレンダに面通しをさせる」ですが、それがアクト3のビッグバトルに行われているので、このシークエンスは、その間に差し込まれている印象ともいえるし、ビッグバトルのため3人の容疑者を立てる準備ともいえる。
・リックが容疑者に浮上
・ガブリエルも容疑者に浮上
・チョウと女のシーン
 これはシリーズ展開のシーン。このタイミングに挟んでいることに注目。必ずしもMP後がいいとかではないが、この全体の内容ではここが良いというかんじ。他を邪魔しない流れでシリーズ展開のシーンを入れる。場所を間違えると、メインストーリーのテンポが悪くなったりブレる。

5:真相へ、6:エピローグ
「面通し」で「アーチの自殺だったとわかる」が1つめのツイスト。「アーチが生きていてフィフィ」だったというのが2つめのツイスト。エピローグは「フィフィが歌っている部分」のみと捉える。このプロットはミステリーなので、アーチが生きているところまではミステリーの範囲。今回の事件と関係のないツイストが入るとかであればエピローグと捉えてもよい。

まとめ(山極さんの記事より)
【ログライン】
CBIに捜査協力するジェーンは、キャバレーの外で発見された焼死体事件を調べる中で、容疑者たちたちに殺人以外の罪があることがわかり、彼らの罪を裁くために被害者は自殺したことを突き止めるが、実はドラァグクイーンたちが自殺を偽装しており、彼女たちの協力で被害者は女性として生きていることを、リズボンにだけ明かす。

PP1:「アーチーの虐待映像」
MP:「ジェーンはグレンダの昼の職場に行く」
PP2:「グレンダ、面通しの要請を受ける」

チーム操作なので群像っぽく捉えたのかもしれませんが、この回は明らかにジェーンのアークプロットです。バディものですらなくジェーン以外はリズボンすら脇役ですので、文章もジェーンでとるべきです。)たぶん、シリーズによってはリズボンのアークプロットになっている回などもある)。ログラインは「ジェーンは~」でとっているので、合わせてください。ログライン中に構造を含めるようにもしてください。

サンプル(答えではなく、僕ならという例です)
【ログライン】
ジェーンは、身元不明の焼死体の犯人を調べていき、目撃者を発見し面通しをしてもらうが殺人ではなく自殺だとわかり、自殺した本人が生きてドラァグクイーンになっていたとわかる。

PP1:「容疑者捜し開始」
MP:「ブレンダが目撃者だったと突き止める」
PP2:「ブレンダの面通しを説得」

●分析表の使い方について
・ビートシークエンスの使い方は、こちらで指定させて頂いた通りでしたが、各キャラの色分けのルールが違います。ジェーンは名前のところに青にしたら、ジェーンの縦列は青の濃淡でいってほしかったです。ワンバトル~を見てください。

・この使い方、見やすいかどうか?わかりやすいか?など、ご意見ももらえたら聞いておいて欲しいです。

・各キャラごとのアークを細かくわけるのは、理解する上では有効なので問題ありませんが、相手に伝えるようとする表のときは、人数が多いと見にくくもなります。今回でいえば「ジェーン」「CBIチーム」ぐらいで大丈夫で、グレンダは絶対にいらないと感じます。「誰のシーンか?」ということを掴むようにしてください。キャラクターには格があり、ジェーンがいるシーンはすべてジェーンのシーンと捉えて構いません。それが主人公というもの。ジェーンがいないときには、誰視点、誰が主軸(そのシーンの主人公は誰か?)といった感覚をもってください。たぶん、「CBIチーム」が一人も出ていないシーンはなかったと思います。グレンダだけのシーンはない。(シーンとショットを取り違えないください)。この感覚は脚本をかくときには必須です。

●個人的な感想、皆さんに考えて気付いて盗んで欲しいポイント
・テンポの良さはどこからきてるか? 編集も早いが、台詞回しも無駄な説明、二重説明などがない。構成の勢いなど。

・ジェーンの魅力=メンタリストの役割をきちんとさせていること。探偵役でありながら、しっかりとメンタリストとしての動き(途中でコーヒー飲んでる動きなどが良い)。クリシェな探偵的な動きをさせると、結局キャラがカブる。ぶっとんだ個性とか、特殊能力とかにいきがち。メンタリストといっているが、やっていることは探偵の洞察力とおなじなので、このシリーズは探偵としては地味。

・このレベルの脚本でコンクール応募しても、「上手いな~」「プロか?」と思われても受賞はしないかもしれない。上手いから受賞とは限らない。逆にプロになっちゃえば、このレベルを量産できれ仕事はある。(テレ朝とかミステリー書ける人を欲しがるから上手い人でも受賞できるか?)。とはいえ、コンクールのレベルでいえば、このレベルかければ、受賞するか・・・

・しののめさんがご提案くださった時点で、みんなハードルが上がってしまっていと思うが、実際、良く出来てるとは思う。その点はどこか?

・大きなツイストが2回ある。どんでんみたいな。そのフリをしっかり入れる無駄のなさ、どんでんの仕込みをアクト1にやるといったセオリーも守られている。どんでんを成立させるために、キャラ(アーチーの生い立ち、メンタルなど)に矛盾を感じさせない設定の丁寧さなども、見習うべき。つっこみところが少ない。

・一方で、アーチーの感情などに感情移入しきれるかというと感動できるほどではない。構成など良く出来ていても感動はしない。面白いし、暇つぶしにはとても良い。もう一度見たいかといえば思わない。このレベルの話が毎回あれば、面白いな~となるけど、毎回欠かさずみたいかというと、どうだろう?(脚本学習者にはいい教材なのは間違いない)。

・ひとつ比べるなら『クリミナル ドイツ編』1話と比べてみてほしい。。テンポでもっていくのではなく、ドラマでもっていく対極にあるような話(オチは似ている)。ちなみに比較ではないが3話もかなりよい、1話がよかったらぜひ。

・そういえば、チョウがロッカーから見つけてきたインスタントカメラの内容は回収された? チョウが署にもどるためだけの理由付け?

・米俵さん、メンタリストのシリーズを見ているようなので、他回との違いなども聞いてみてください。

・しののめさんには、そもそも、この回を勧めてくださった人がどうしてこれを良いといいそうかとか、好みとかも話せたら面白いかも。

以上

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