前回は、6つにわけた言動決定要素のうち「知能」の職業差・経験差について考えました。
今回は同じく「知能」の男女差について考えていきます。
男女によって脳の構造には違いがあります。一般的に男は空間認知や論理に長けていて、女は言語や共感能力が高いなどと言われます。
厳密には個人差のが大きいので男性的、女性的と言い替えてもいいし、イメージがつかみやすいなら右脳派、左脳派などでも構わないと思います(どのみち分類で人間の本質はつかめませんから)。
「知能」のうち思考力や論理力、数学力といった能力に着目すると、その対立項は感情や感性、直感などとなります。
知能が高い、低いという捉え方をするのは、知能を重視している人間の価値基準です。
物事を知能で判断しない人は、別の判断基準をもっているのです。
たとえば以下のような会話になります。
A「あの人、何してるのかな? ベンチにずっと座ってる」
B「考え事してるだけでしょ」
A「でも、なんか……怪しい」
B「公園で座ってるだけなんだから、そんな風に言わないの」
A「ぜったい怪しいって」
キャラクターに合わせて言葉使いに色をつければ、はっきりとキャラが立ってきますが、ここでは、どちらも中性的に書いてみました。
Aを女性、Bを男性とみれば一般的なイメージ。
Aを男性、Bを女性にすると、やや女性マンガのワンシーンのように見えるかと思います。女性マンガの作者は女性がほとんどが女性のため、その物語に登場する男性が「女性的」である場合が多いためです。
「知能」という点からいえば「ベンチに座っている人」という状況に対して、Aは「怪しい」という主観的な感情から、Bは「公園のベンチ」という客観的な視点から判断しています。
また悪い例としてあげておきますが、男女差を出すための古臭い語尾があります。
A「あの人、何してるのかしら? ベンチにずっと座ってるわ」
B「考え事してるだけだろう」
A「そうかしら。でも、なんだか怪しいわ」
B「公園で座っているだけなんだぞ。そんな風に言うんじゃない」
A「それでも絶対に怪しいと思うわ」
とたんに明治や大正の物語になります。現代の物語でこんなセリフを書くのは、作者が高齢であるか、書き手が未熟すぎる場合が多いようです。
現代人は、柔らかい喋る男性もいるし、女性もおしとやかな喋りばかりではありません。
書き慣れていない未熟な作者が、語尾でキャラ付けをしていくと、登場人物が増えたときに似たり寄ったりになってしまいます。
どこかのラノベのように語尾に「にゃ」とか「にゅ」をつけることでキャラを出そうとするハメになってしまうのかもしれません。
キャラクター(人間)の本質から、描かないといけません。
緋片イルカ 2019/07/03
文章テクニック11「論理的セリフと感情的セリフ」でも今回と同じ問題を考えてみました。
次回はキャラクター概論8「言動決定要素②価値観:キャラクターコアの有無」
構成について初心者の方はこちら→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」
三幕構成の本についてはこちら→三幕構成の本を紹介(基本編)
文学(テーマ)についてはこちら→文学を考える1【文学とエンタメの違い】
文章表現についてはこちら→文章添削1「短文化」
「三幕構成について語ろう」という掲示板もありますので、ご自由にご参加ください。
こんにちは。通りすがりです。突然すみません。もしよろしければ!
第5回 「男脳」「女脳」のウソはなぜ、どのように拡散するのか
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/17/020800002/021400005/
男性は数学に、女性はマルチ行動に優れているのか?
https://www.swissinfo.ch/jpn/%E7%94%B7%E6%80%A7%E3%81%AF%E6%95%B0%E5%AD%A6%E3%81%AB-%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AF%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%81%E8%A1%8C%E5%8B%95%E3%81%AB%E5%84%AA%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-/31568310