初心者の方はこちらからどうぞ→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」
前回まででテーマ、ジャンル、主人公のセットアップをした後、最初のきっかけ「カタリスト」が起きることを考えました。
今回のビート「ディベート」debateは、カタリスト後の主人公のリアクションといえます。
「カタリスト」との関連が深いので、合わせて考えていきます。
debateというと討論を浮かべてしまいますが、ここでは自動詞の「思案する」です。
『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』の翻訳では「悩みのとき」となっています
また『千の顔をもつ英雄』と比較した場合、
「冒険の召命」=「カタリスト」
「召命拒否」=「ディベート」
となります。
ここで重要なのはいずれにせよ「悩んだり」「拒否」したりして、すぐに旅に出発しないということです。
旅への出発がこの後にでてくるPP(プロットポイント)ですから、ここが大きな違いです。
なぜ主人公は悩まなくてはいけないのでしょうか?
それは、人間が変化するとは一度、死んで生まれかわるほどに大変なことだからです。
たとえば「痩せたい」とおもっている主人公がいるとします。
そこへ「スポーツジムの誘いのハガキ」が届く。それで「ジムに通い始めて、痩せていく……」
こんな物語、誰が見たいでしょうか?
スポーツジムのCMにしかみえません。
改めて、「痩せたい」とおもっている主人公がいる。
そこへ「山ごもり修行ダイエットプログラムに誘われる」
これならどうでしょうか?
まだ観客がくいついてくれるかはわかりませんが、主人公は迷います。
主人公が即決できるような誘いはカタリストにはなりません。
「旅」とは非日常なので、主人公が迷いもなく行動できる範囲は日常生活の範囲です。
旅に出るかどうか、迷うほどの「旅」でなければ主人公を変えるきっかけにはなりません。
「痩せたい」でも「たいへんなダイエットはしたくない」これが主人公の本音です。
だからこそ、痩せられない現状があるわけです。
抜け出すには、決断をしなくてはいけません。
それが次のビート「デス」です。
「デス」については次回、考えていきます。
★まとめ:
・人間が変化するには決断と努力が必要。
・「カタリスト」を受けて主人公は迷う=「ディベート」。
・迷うことのないような軽い悩みでは、観客は共感しない。
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構成について初心者の方はこちら→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」
三幕構成の書籍についてはこちら→三幕構成の本を紹介(基本編)
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