映画『劇場版トリリオンゲーム』(三幕構成分析#274)

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※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

【ログライン】

 世界一のわがまま男のハルは、気弱なパソコンオタクのガクとともに、一兆ドル稼いでこの世のすべてを手に入れるため、ウルフ・リーに近づくが、彼に嵌められ、窮地に陥るが、最終ポーカーで勝利し、ウルフの悪事も暴く。
【フック/テーマ】
/仲間の絆・信頼

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「なし」
 ファイナルイメージと対になるものがないため、なし。
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「ハル、ガクの前に颯爽と登場」
 凛々とデートの最中に、ハルが現れる。これをもって、この物語がハルとガクの物語であることが示される。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「一兆ドル稼いでこの世のすべてを手に入れられるのか」

want「主人公のセットアップ」:「一兆ドル稼いでこの世のすべてを手に入れる」
 ハルとガクのロードマップの続き。資金集めのため、海外へ飛ぶ。
Catalyst「カタリスト」:「カジノバーに潜入・ウルフと再会」
 モンテネグロのカジノバーに潜入したハルとガク。そこでハルのわがままの師匠、ウルフ・リーと再会する。
Debate「ディベート」:「イカサマがバレる」
 ハッタリかまして順調に勝ちを重ねるハルだったが、ラモーナの登場により、それがイカサマだったことがバレ、ガクとともに会場から逃げ出す。が、捕まってしまう。そしてウルフと対峙し、カジノに参入したいと真意を告げる。
Death「デス」:「ウルフにポーカー対決に負けた過去」
 勝負に負けたのではなく、金に負けた。わがままを通すには金が要ると、ハルのわがままのルーツとなった。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「カジノバーを去る」
 ウルフとの過去に想いを馳せるハル。カジノバーを去った。
F&G「ファン&ゲーム」:「日本初のカジノを開業する」
 社員たちに、日本初のカジノを開業すると宣言。そのメリットや問題点を告げる。
Battle「バトル」:「島民たちと仲良くなる作戦始動」「キリカたちと食事」「島民説明会」

Pinch1/Sub1「ピンチ1」/「サブ1」:「ハルはキリカとキス寸前/ガクは凛々に悩みを話す」

MP「ミッドポイント」:「ハル、金塊盗難のニュースを凝視」
 国の認可を得て、正式にウルフ社と共同で合弁会社トリリオンIRを設立。カジノ運営はウルフ社に、セキュリティはガクが担当することとなる。
 そんな中、ハルは金塊盗難のニュースを凝視している。
Reward「リワード」:「1年後、カジノ開業」
 カジノがオープンする。盤石なセキュリティ。
Fall start「フォール」:「カジノで強盗事件発生」
 警報機が作動せず、カジノは大混乱となる。事態の鎮静化に動くハルだったが、強盗犯のひとりに撃たれ、倒れてしまう。
Pinch2/Sub2「ピンチ2」/「サブ2」:「キリカはハルにキスをする/ガクは自責の念にかられる」

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「ウルフと宇喜多がカジノ到着」
 リニューアルオープン。
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「ウルフに勝負を挑む」
 全財産を賭けて、ハルはウルフにポーカー対決を挑む。
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「ポーカー対決」
 ウルフ優勢で勝負が進み、負けそうになるが、ガクが現れたことで一変、トリリオンゲーム社を賭け勝負に挑み、勝利する。
Twist「ツイスト」:「すべては金塊の在処を探すためのハッタリ」
 一連の騒動はマネロンの証拠と金塊売買の証拠を手に入れるためにハルたちが仕掛けたハッタリだった。宇喜多も仲間であり、ウルフはまんまと嵌められた。
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「IR事業と宇宙開発事業を吸収」
 ハルはウルフに条件を飲ませる代わりに、警察には通報しなかった。その条件とはIR事業と宇宙開発事業をウルフ社から切り離し、トリリオンゲーム社に吸収合併するというものだった。そこにはキリカや黒龍も絡んでいた。
Epilog「エピローグ」:「次なる夢は宇宙開発」
 ウルフ社に目をつけたのは、宇宙開発事業を吸収合併するためだったことが明かされる。ハルとガクのロードマップはまだまだ続いていく。
Image2「ファイナルイメージ」:「なし」
オープニングイメージと対になるものがないため、なし。

【作品コンセプトや魅力】

 連続ドラマの続編。ドラマ時代のビジネス色をほぼ失くし、”ゲーム”といったところにフォーカスした構成に。ドラマを見ていなくても、本作だけで楽しめる作品であるところも魅力のひとつと言えよう。
 SnowManの目黒蓮さんのアクションシーンもあり、ファン必見。ドラマ自体は低視聴率だったが、本作は興行収入20億を突破するヒット作となった。

【問題点と改善案】(ツイストアイデア)

 邦画のよくないところを煎じて煮詰めたような脚本だと言えよう。キャラクターアークを無視したようなご都合主義的展開は、それ自体が問題点となりうる。ドラマの続編という構造上、既に変化を遂げたハルとガクに更なる変化を背負わせるのは難しい。だからこそ、ゲストキャラにその役割を背負わせるべきだろう。本作において、それはシシド・カフカさん演じるラモーナだろう。
 しかし、ラモーナの葛藤を描く描写が足りていないために、BBでウルフ・リーを裏切りハル側に付くという展開に説得力が欠如している。それ故ご都合主義だと感じてしまうのだろう。
 また、ハル側にしても、ラモーナがウルフ・リーを裏切らなかった場合はどうしていたのかといった問題もある。信じていたとラストで真意がハルから明かされるが、それにしても壮大な計画の重要な鍵を担わせるものとして、”信用”だけでは足りないように感じる。感情ではないところのリアリティの確保が重要だっただろう。

【感想】

「好き」5「作品」4「脚本」3
 とはいえ、私はこういう作品が好きだ。エンタメに全振りした作品は観ていて楽しいし、ワクワクもする。目黒蓮さんのファンではないにしても、カッコいいと当然のように思う。ドラマから観ているが、ドラマよりゲーム性を重視した構成も個人的に好感触ではある。
 もし続編が作られることあれば、私は間違いなく映画館に足を運ぶだろう。ハルとガクのロードマップの続きを見たいと思う。
(山極瞭一朗、2026/03/07)

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