ドラマシリーズ『九条の大罪』第1審「片足の値段」(三幕構成分析#290)

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※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

【ログライン】

 悪徳弁護士と呼ばれる九条は、18年前の事件で繋がりのある烏丸と出会い、壬生からひき逃げ事故を起こした森田の弁護を依頼され、執行猶予つきの判決を勝ち取るが、被害者遺族にも手を差し伸べ、薬師前を通して、彼らの希望を与える。
【フック/テーマ】
 悪徳弁護士/法と道徳

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「なし」
 ファイナルイメージと対になるものがないため、なし。
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「悪人を無罪にする」
 この物語が、悪徳弁護士と呼ばれる男を主人公とした物語であることが示される。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「たとえ悪人でも守る価値はあるのか?」

want「主人公のセットアップ」:「依頼人を守りたい」
誰かを助けると、誰かを不幸にする。弁護士は常にこの罪を背負っている。
Catalyst「カタリスト」:「九条と烏丸の出会い」
 
Debate「ディベート」:「九条の態度に困惑」
 烏丸は一般的な面接とはまるで違う九条の態度に困惑する。逆に「どうして悪人の弁護ばかりするのか」と問いかけるが、明確な答えは返ってこない。
Death「デス」:「壬生、初登場」
 ひき逃げ事故を起こした森田から、車の修理を依頼されるが拒否。弁護士を紹介すると告げる。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「壬生から依頼」
 森田の弁護を壬生から依頼される。
F&G「ファン&ゲーム」:「ナイトパブを改装してできた事務所」
 散らかった事務所。烏丸は自分の席を決めると、壬生たちがやって来る。
Battle「バトル」:「森田の事故状況説明」
 飲酒運転・わき見運転。クズ行動のオンパレード。烏丸は懲役20年相当だと説明する中、九条はスマホや領収書などの処理につき、具体的な指示を出し、依頼人を守るために動く。
Pinch1/Sub1「ピンチ1」/「サブ1」:「なし」

MP「ミッドポイント」:「森田にどうするか自分で決めさせる」
 九条を不安視する森田。九条は自分の人生は自分で決めろと冷たく言い放ち、自身の人生の選択をさせる。
Reward「リワード」:「なし」

Fall start「フォール」:「被害者の死は事故でない可能性」
 心臓疾患を抱えていた被害者は事故の前に死んでいた可能性が浮上する。烏丸はクズの森田が罪に問われないかもしれないと怒りをあらわにする。
Pinch2/Sub2「ピンチ2」/「サブ2」:「なし」

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「執行猶予付きの判決が下る」
 実質の勝訴。片足を失った息子、被害者の母は涙を見せるが、どうすることもできない。
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「片足の値段」
 被害者遺族は弁護士をつけなかったことで、保険会社からもいいように言いくるめられる。無知は罪。九条は法律と道徳は分けて考えている。
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「被害者母に会いに行くが……」
 烏丸は被害者母に会いに行くが、先に薬師前が来ていて、母を説得。未来を生きるために、賠償金裁判のやり直しを訴える。
Twist「ツイスト」:「なし」

Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「薬師前に頼んでいた」
 九条は被害者遺族救済を薬師前に頼んでいた。弁護士の紹介までしていた。
Epilog「エピローグ」:「18年前の裁判での繋がり」
 九条と烏丸は共に18年前の無差別殺人事件の裁判を傍聴している。それを知っていた烏丸は九条に興味を持ち、やってきたと明かす。
Image2「ファイナルイメージ」:「なし」
 オープニングイメージと対になるものがないため、なし。

【作品コンセプトや魅力】

Netflix独占配信のドラマシリーズ。柳楽優弥×松村北斗の組み合わせでドラマ化されることが解禁された当初から話題となった。配信開始後は、佐久本宝・黒崎煌代・吉村界人・石川瑠華・森田想ら若手俳優の熱演がSNSを中心に評価された印象がある。『闇金ウシジマくん』の作者と同じであることから、どことなく似たキャラクターが出てくるのは面白い。

【問題点と改善案】(ツイストアイデア)

 弁護士ドラマであることから、法廷を舞台にしたバトルが繰り広げられることを想定していた。悪人の弁護をする中で、それでもあの手この手で無罪を勝ち取るといったような、そういった想定。しかしそうではなくあっけなく執行猶予を勝ち取り、肩透かしを食らったのが正直なところだ。完黙すれば20日でパイになる(釈放される)という手法は1話時点では新しさはあったが、全話通してその戦法であったため、九条弁護士の有能さを示すには些か弱いように感じる。
 また、制作にTBSが入り、脚本を地上波ドラマに引っ張りだこの根本ノンジ氏が務めているため、良くも悪くも地上波ドラマの延長といった印象。ひと昔前であれば、地上波で放送することはできただろうが、コンプラ的に放送できないのだろうかと邪推せざるを得ない。原作は未読のため、どこまでドラマ仕様になっているか定かではないが、配信でする以上、残酷描写をもっと残酷に、突っ込んで描いてもよかったのではないだろうか。テレビ局制作の配信ドラマの在り方を考えさせられた作品だった。

【感想】

「好き」5「作品」4「脚本」3
 個人的には好きな作品である。『闇金ウシジマくん』も原作は未読であるが、ドラマ・映画と全作観ている。本作も社会的弱者・奪われた側の葛藤を描くテーマはありありと伝わってくる。法廷ドラマではなく、あくまで人間ドラマであると考えると、問題点として挙げた九条弁護士がどのように無罪を勝ち取る(量刑を軽くする)のかは重要ではないのかもしれない。
 あくまで分析自体は1話のものであるが、全体の内容について触れるとすると、最終話の在り方も気になるところだろう。原作は未完であるし続編ありきであることは理解しているが、何かが起こりそうな雰囲気だけで、とりわけ何も起こらず、そして何も解決しない最終話はいかがなものかと感じる。クリフハンガー的に続きが気になる構成として終わらせること自体は好きだしいいが、シーズン最終話として何かしらの解決はさせるべきだろう。そのあたり海外作品との差を痛感する。
 とはいえ続編があれば必ず観るし(現時点で発表はないが)、来るべきその日を楽しみにしている。
(山極瞭一朗、2026/05/09)

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