【ログライン】
表向き冴えない商社マンとして働きながら、裏では秘密組織、別班の1人として国益のために暗躍する乃木憂助は、5人の別班員が何者かに拉致されたことをきっかけに、居場所を調べるために、公安警察の野崎の力も借りながら、バルカに渡り、弟のノコルと共に5人が中東に運ばれたと突き止め、うち1人が運ばれたキプロスに渡り、ある作戦を決行しようとする。
【フック/テーマ】
別班/愛国心
【ビートシート】
Image1「オープニングイメージ」:「なし」
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「乃木、別班の作業場所へ」
路地裏を通り、厳重にロックされた作業場所に乃木は訪れる。そこでベキとの一件の作業報告をする。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「消えた別班員たちの居場所を突き止めることはできるのか?」
want「主人公のセットアップ」:「乃木、薫と再会」
ベキとの一件を終えた乃木は神田明神で薫とジャミーンと再会、ハグをする。(前作のラストシーン)
Catalyst「カタリスト」:「新たな任務指令」
神田明神で薫とハグをしていた乃木の目に、新たな任務指令の印=饅頭が映る。
Debate「ディベート」:「別班員が姿を消した」
乃木はAIハヤトの部屋に赴き、上官の櫻井から、別班員たち4人が姿を消したと知らされる。彼らは拉致されており、行方は不明。
Death「デス」:「黒須も音信不通」
乃木の忠実な部下である黒須もバルカのゲルから姿を消していた。現場に銃弾の形跡もあり、拉致を思わせる。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「大きな渦の中にいる」
テント解体、ベキの死ですべてが片付いたと思われていたが、乃木はまだ大きな渦の中にいることを自覚する。
F&G「ファン&ゲーム」:「なし」
Battle「バトル」:「野崎と三越本店でのシークエンス」「丸菱社長・専務らとの会談のシークエンス」「会談後、ホテルの部屋で侵入者とバトルのシークエンス」
MP「ミッドポイント」:「乃木、バルカへ」
再び野崎と情報共有した乃木は、ベキの分骨を持って、異国の地バルカへと飛び立つ。
Reward「リワード」:「乃木はベキの分骨をノコルたちに見せる」
Fall start「フォール」:「黒須は麻酔銃で眠らされる」
黒須失踪時の映像を見ていた乃木たちは、黒須が謎の5人組に拉致されたことを突き止める。
Pinch2/Sub2「ピンチ2」/「サブ2」:「なし」
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「キプロス到着」
失踪した別班員たちが運ばれた場所を突き止めた乃木は、そのうちのひとりが運ばれた地、キプロスに渡る。
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「なし」
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「アリに会う」
ある作戦を同行者のドラムに告げた乃木は、前シーズンにも登場したアリに会い、彼を眠らせるところで第1話は幕を閉じる。ここからビッグバトルが始まると捉え、それ以降のビートは第1話においてなしと判断した。
Twist「ツイスト」:「なし」
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「なし」
Epilog「エピローグ」:「なし」
Image2「ファイナルイメージ」:「なし」
【作品コンセプトや魅力】
原案・監督:福澤克雄氏×主演:堺雅人氏の『半沢直樹』のゴールデンコンビがタッグを組んで描く大ヒットアドベンチャードラマの続編。かつて福澤氏演出のドラマで主演を務めた俳優が多数出演し、ドラマに華を添える。
2026年7月放送開始、異例の2クール放送であり、日本のみならずアゼルバイジャンやモンゴルなど、大規模な海外ロケも実施され、破格のスケールで物語が展開する。
今回分析の第11話(第2シーズン1話)の視聴率は、18.8%と近年類を見ない高数字であり、Tverの再生数も700万回再生突破と、それまでの単話歴代再生数トップだった『silent』4話を優に超え、歴代トップとなった。ネット記事の多さやSNSの考察班たちの投稿も他作品と桁違いの数である。
また初回放送前には生放送を実施し、前作の振り返りを流すなどの徹底ぶりで、日本中が今最も注目する作品といっても過言ではないだろう。
【問題点と改善案】(ツイストアイデア)
海外ロケの成果もあり、破格のスケールで物語が描かれていることはわかるが、分析細分化すると、結局ほとんど何も起きていないことがわかる。日曜劇場らしさ、いわゆる大味演出と圧巻の映像美でなんとなくすごいことはわかるが、それ以上はないのである。色々なところを歩き、謎の空間で会話しているシーンが目立つ。
とりわけACT1の約半分は、前作のラストのシーンとその裏で何が起きていたのかを見せるために時間を費やしている。また、余計な回想(32分~35分地点/39分~41分地点)も目立つ。数時間前や5分前の出来事をわざわざ回想にして示す理由が正直読み取ることができなかった。
さりとて何も起きていない・よくわからないからといってそれが直ちに問題点となるわけでもないように感じる。あえてそうすることの意図が、回を重ねることで明らかになってくるのではと、積極的によきように解釈することもできなくはない。
【感想】
「好き」4「作品」4「脚本」3
TBSの伝統ドラマ枠であり、今日本の地上波で最も視聴率が獲れる枠といえば、日曜9時の「日曜劇場」だろう。『半沢直樹』が伝説的なヒットを記録したことを皮切りに、池井戸潤氏原作×福澤克雄氏演出のドラマが量産され、ヒットした。『ルーズベルトゲーム』『陸王』『下町ロケット』などである。これらの特徴は勧善懲悪で、正義が悪を倒す構図は明快で、スカッとして翌日の仕事を頑張ろうという気にさせるのか、回を追うごとに話題となり、視聴率が上昇した例も少なくない。
しかし『VIVANT』の第1シーズンを皮切りに、善悪併せ持つ人物を主人公とした物語が多くなったように感じる。『アンチ・ヒーロー』『御上先生』が最たる例だろう。『VIVANT』と制作チームも近しい。時代の潮流がそうさせるのか、混沌とした時代だからこそ、単純な正義が勝つ展開では視聴者は満足しないのかもしれない。
そういった意味で、『VIVANT』の主人公、乃木憂助は善悪二元論では語れない魅力を持っていると言えるだろう。とはいえ問題点に挙げたように、ストーリー自体がとりわけ進んでいるわけではない。伏線が張り巡らされていることはわかるが、何が起きているのかは正直わからずに観ている。だからこそTverなどを通じて繰り返し観る視聴者も多いのではないかと思う。作り手の術中に嵌っているともいえるだろう。そんなある種パラドックス的なところもまた、本作の魅力のひとつなのかもしれない。
2クールの後の映画化もまことしやかにささやかれている。まだまだ序盤戦だ。今後『VIVANT』がどういう軌跡を辿るのか、注目したいと思うのである。
(山極瞭一朗、2026/08/02)

