「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」(三幕構成4)

初心者の方はこちらからどうぞ→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」

【心の暗闇=ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウルというビート】
ブレイク・スナイダーのビートシートでは、「オールイズロスト」(すべてを失って)「第二ターニングポイント」の間に「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」(心の暗闇)というビートがあります。

これは、それぞれの解説ページでも書いたとおり「オールイズロスト」に対するリアクションであること。また冒険・旅・試練をおえて、成長した主人公にとっては「ディベート」ほどの迷いはないこともあるので、必須のビートとは言えないと考えます。
また、ビート化することで、無意味に主人公に落ち込むリアクションをさせる弊害もあるように思います。

プロットを考える補足「物語のテンポ(イベントとリアクション)」でも、説明したように、
「オールイズロスト」という状態からすぐに「ターニングポイント」に入っても問題ないし、とくにポジティブなキャラクターの場合、ほとんどない映画もあります。

しかし、『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』に、以下のようにあったのは面白いと思いました。(ちなみに「闇夜を彷徨う魂」と訳されています)

ここは、小説全体の中でただ1回だけ、ヒーローに後戻りが許されるところ。前進しなくても構わないのです。私はこれを慣れ親しんだものへの回帰と呼んでいます。

「オールイズロスト」は旅の終わりであるので、この後に「後戻りが許される」というのも。これは心理学的に言えば変化の前の「退行」といえます。(退行とは例えば弟が産まれてお兄ちゃんになるのが嫌な長男がおねしょをしたり幼児返りするようなことです)。
同時に「家」に帰ることで、旅立つ前とは変わった姿を目にして(自分自身が変わってしまってることも含めて)、もう戻れないという決断を促すことにも使えます。
また、プロット上、どうしても一度、家に帰らせる必要があるときは、やはりこのタイミングなのかなという使い方もできると思います。

「ピンチ」のようにあってもなくてもいいビートという意味では「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」も、入れてもよいと考えを改めたので、ページを作りました。

緋片イルカ2019/05/03

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