https://www.netflix.com/title/81460836
※あらすじはリンク先でご覧下さい。
※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。
【ログライン】
仕事で多忙なダヨは、通り魔事件で娘と妻を失い、悲しみに暮れつつもライドシェアドライバーの仕事を始め、娘の誕生日に自分達と似た家族を乗せるが、夫婦が口論ばかりの中で少女に抱き着かれたことで泣き崩れ、ひとしきり泣いてから再び生活に戻る。
【フック/テーマ】通り魔事件で妻子を失う/家族を奪われた男がどのように生き、悲しみと向き合うか
【ビートシート】
Image1「オープニングイメージ」:「娘・ローラと手を繋ぐダヨ」
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「娘との会話」
want「主人公のセットアップ」:「仕事で多忙な中、娘の発表会に何とか行こうとするダヨ」
Catalyst「カタリスト」:「通り魔が現れる」
Debate「ディベート」:「通り魔を取り押さえる」
Death「デス」:「妻も死に、一人残される」
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「一人きりの生活がスタート」
Battle「バトル」:
「様々な録音を聞く」、「悲しみに暮れる」、「ライドシェアドライバーの仕事を始める」
MP「ミッドポイント」:「娘の誕生日にバースデーソングを歌う」
Fall start「フォール」:「自分たちに似た家族を乗客として乗せる」
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「ローラに似た少女に抱きつかれ、泣き崩れる」
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「一人でひとしきり泣く」
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「泣きやんで、車に乗る」
Image2「ファイナルイメージ」:ダヨの乗った車が走り去る
【作品コンセプトや魅力】
全体尺 18分、実尺が約16分という短い作品ながら、映像や音楽が洗練されており、大きな理不尽と悲しみに見舞われた男が何とか生き続けていく様子が描かれている。深い悲しみがぐっと伝わってくる作品。
【問題点と改善案】(ツイストアイデア)
妻が娘を探そうとして(錯乱して?)落下する、見知らぬ少女が不意に抱き着いてくるといった、「別にあり得なくもないが、やや力業寄りの展開」が短尺の中で散見される点は気になるといえば気になった。成立させられなくもない部分ではあるので、より自然な形で見せることができたのではないか。
【感想】
普段課題として執筆している10分脚本に向き合う上で参考にしたく、ショートムービーを取り上げた。王道といえば王道な、シンプルな作品ではあるが、第96回アカデミー賞短編映画賞にノミネートされている。短編脚本を書く上で必要な取捨選択や、基本的な描写力とはこういったものだ、という手本の一つとして勉強になった。
短編ゆえにビートがやや取りづらく、カタリストは「妻との合流」や「ジェームズからの電話で妻子から離れる」などでも良かったかもしれない。PP1も、「ドライバーの仕事をしているシーン(から)」と見ることもできそうだ。いずれにせよ非常に短尺なため、どこをどのビートと取っても分数的には誤差の範疇に収まってしまいがちである。
MP以降の、自分たちに似た家族が乗って来るも夫婦が喧嘩ばかりしていて…という展開には見応えがあった。ダヨがドライバーに転身してからは、主人公の台詞がほぼなく表情の演技がメインで、乗客たちの会話が主になっている点も興味深い。状況的に受け身の立場になる主人公を、それでも主人公たらしめるにはどのように描けば良いか、という点でも参考になると感じた。
「好き」4「作品」4「脚本」3
(しののめ、2026.9.25)
